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肉豆腐28

その後も 商店街を行く道すがら話しかけられる度 佑さんは俺を紹介してくれた。 「そこら中 知り合いだから 挨拶だけで 大変なんだよな。。」 佑さんはカリカリと頭を掻き ニッと笑う。 アメリカンテイストの喫茶店の店前で 飾ってある花壇に水をやっていたマスターらしき人が 佑さんに気づき ニッコリと笑みを浮かべた。 「佑くん。こんにちは。」 「ああ。こんにちは。ちょうど良かった。 キリマン切れちゃってさ。いつもの一袋いい?」 「うん。ちょっと待ってね。」 そう言って すっと視線を俺に向ける。 気づいた佑さんは また同じ台詞を口にした。 「明日からうちで働くんだよ。よろしくな。」 何度目かのやり取りにふと気づく。 ああ。そうか。。 こうやって俺を受け入れて貰えるように してくれているんだな。 もしかしたら 商店街での買い物の目的は これだったのかもしれない。 新参者と浮かないように。 この街に溶け込めるように。 「一ノ瀬です。よろしくお願いします。」 マスターは 値踏みするようにじっと俺を眺め 「京本です。こちらこそよろしくね。」 優しく微笑み 店の中へ入っていく。 佑さんは聞こえないように 背伸びをして 俺の耳に口を近づけ 「渋くてイケメンだろ。目の保養。」 そう言って ニヤッと笑った。 ・・確かに。 大人の色気があるいい男だ。 「佑さんはイケメンが好きなんですね。」 見下ろし そう改めて言うと 少し頬を赤らめ 「え・・だって・・見る分には イケメンの方がいいだろ。。」 語尾がどんどん小さくなる。 可愛らしい人だな。 くすっと笑うと 揶揄われたと思ったのか この野郎。。と唇を尖らせた。 ビニール袋を持ち 店から出てきた 京本さんは 俺たちを交互に見比べ 首を傾げる。 「どうしたの?」 「な・・何でもない! ありがと。」 佑さんは急いで金を払い 俺が袋を受け取ると じゃあね。と俺の腕を引きながら 手を振り 店を後にした。

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