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肉豆腐33
まあ。しょうがない。
飯は美味く食わないとな。
とりあえず頭から外し 箸を取り 春に渡す。
ここはフォークやナイフを使わず
箸で食べられる洋食を出す。
家庭的な雰囲気で 昔から大好きだった。
「いただきます。」
二人で手を合わせ そう言ってから
切ってあるポークカツレツを掴み
パクッと口に入れた。
春も 柔らかいハンバーグに箸を入れ
口に頬張り もぐもぐと口を動かしている。
「旨いです。」
「だろ? ここのハンバーグは肉汁たっぷりで
旨いんだよな。 ほら。こっちも。」
ポークカツレツの皿をずらすと
春はペコっと頭を下げ 箸で掴み 口に運ぶ。
「ああ。これも旨いですね。」
ニコニコ笑みを浮かべながら
ガツガツとライスを食べた。
あー。
すげえ早さで米が無くなる。
よく食うな。
まあ。だからこんだけデカイんだろーけど。
木村さんもカウンターから見ていたのか
「デカイの。飯 お代わりしたかったら言えよ。」
と 半分呆れながらそう声をかけた。
「すいません。ありがとうございます。」
ちょっと照れながら 春は木村さんにそう返し
俺へと視線を移し はにかんだ笑顔を見せた。
いいよ。
よく食う奴は見てて気持ちがいい。
頭から外しても なんとなくどんよりと
腹の淵に澱みが溜まっていた気がしてたけど
なんだか少しスッキリする。
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