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カフェオレ①

「はい。ポテトサラダ200グラムですね。 少々お待ち下さい。」 ショーケースのガラス戸を開け プラスチック容器に よそい グラムを量る。 多かったのか 少し取ろうとする春に 「いいわよ〜 そのままで。」 と 常連の奥さんはニコニコ微笑みながら 財布を出した。 「ありがとうございます。」 春が ニコッと笑みを見せると ほわんと頬を 赤らめる。 「ああ。。それからこれも貰おうかしら。。」 後ろには沢山 人が並んでいて 大和が横から 「何にしますか?」と聞いても みんな素知らぬふりで 春の前に並んでいた。 大和は苦笑いを浮かべながら 「春さん。大人気。」と口を尖らせる。 まあな。 「あの図体でニコニコしてりゃ良く見えんだろ。 毎日あの調子だから 随分慣れてきたしな。」 接客は初めてだったらしいけど 勘がいいのか すぐに覚えるし 愛想も良くて あっという間に人気者になった。 デカイ割には持ち合わせる雰囲気に威圧感が無く 物腰も柔らかいからか 特に奥様方のウケがいい。 まあ。こうやって髭も綺麗に切り揃え 髪を縛って ちゃんとした格好すれば見てくれもいいし。 何より真面目。 おかげで売り上げも好調。 ありがとうございます。 大和は鍋を洗いながら 「でも これで少し安心しました。」と言う。 「何が。」 追加の肉じゃがをバットに入れながら聞き返した。 「俺が来れなくなったらどうするんだろうって 心配してたんすよ。また変なバイト入ったら 余計 佑さん大変になっちゃうし。」 ああ。まあな。 大和も思い出したのか顔をしかめてる。 前にバイトを取った事があり ソイツは まともに働きもせず ずっと客の女性に 話しかけてて 苦情が入った事があった。 ストーカー紛いの付き纏いまでしていた事を 陽太兄ちゃんに聞き しばらくゴタゴタに 巻き込まれて。 「あれは参ったな。」 商店街の近くには学校もいくつかあり 学校帰りに寄る子達もいる。 まあ そうじゃなくてもこういった商売 客トラブルだけは絶対にダメだ。 「面接ん時は真面目そうに見えたからなぁ。」 人は第一印象ではわからない。 ふっと春へ目を向ける。 「でもコイツが一番胡散臭かったけどな。」 ホームレス同然の状態の春を思い出し そう笑うと 大和もニヤニヤと頷いた。 「それが住み込みでバイトだもん。 随分と思い切ったなって正直ね。 でも 今の春さんはこうやってると 逆に何で ここに居るんだろって思うくらいかなぁ。」 そうだな。。 こんなちっぽけな惣菜屋でいい年して バイトするような奴じゃない。 でも春は身の上話をほぼしない。 まあ。聞かないようにもしてるけど。 誰にだって事情はある。 俺にだって言えない事があるように。

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