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カフェオレ②
金をキャッシャーに入れこちらに視線を向けた春は
ん?とニコニコ笑みを見せる。
何でもないと首を振ると コクンと頷いて
すぐに次の客の対応を始めた。
まあ。居たいだけ居ればいい。
春が居たいだけ。
人はいつか居なくなる。
家族を持てるなら そうじゃないだろうけど
俺の場合 行き着く先は結局一人だし。
お一人様上等。
頑張りますよ。
春が来てから 家の事もやってくれるので
かなり楽が出来ていて 最近調子もいい。
考え方も大分前に向き始めた。
本当に色々疲れてたんだな。。
大和は俺の顔をマジマジと眺め
心を読んだかのように
「佑さん。顔色良くなったし。
最近 ちゃんと食べてるからかな。
春さんと飯食うと 釣られますからね。
俺。この間まかない食い過ぎたもんなぁ。
夕飯食えなかった。」
そう言って 嬉しそうに笑う。
なんだ。
コイツにまで心配かけてたのか。。
「大丈夫だよ。人の心配してる場合か。
就活。ちゃんとやってんのか?
バイトはいいから そっちしっかりやれよ。」
うーん。と大和は首をひねる。
「そーなんだけど。会社勤めかぁ。。
俺に出来るのかな。なんて。」
ペロッと舌を出す。
あ。と言って 時計に目をやった。
「これから先輩に話聞く約束してるから。。
ちょっと違う職種考えてて 今からでも
インターンシップ行ってみようかと思って。
じゃああがります。春さん。後よろしく!」
大和がそう声をかけると 春は振り向き
ニコッと微笑み 「お疲れ様でした。」と
頭を下げた。
ひらひら手を振りながら 大和が裏のドアから
出て行くのと入れ違いに崇が顔を出す。
「なんだ。大和はもうあがりなの?
せっかくバゲットサンドと牛乳持ってきたのに。」
そう言って 紙袋とビニール袋をテーブルに置いた。
客がやっと途切れたのか 春が中に戻ってくると
崇は こんにちは。と手を挙げる。
お使いにも毎日のように行かせているからか
春はすっかり仲間内とも仲良くなった。
まあ。コイツの人間性かな。とも思う。
人の懐にすっと入り 警戒心を抱かせない。
ウチらの仲間は意外と内弁慶が多いんだけど
すぐに打ち解け よく物を貰ってくるし
うちに来た経緯を知ってるからか 食わせてやれと
差し入れを持ってきてくれる事も多かった。
ただな。。
勝手に冷蔵庫から麦茶を出して 椅子に座り
ゴクゴク飲んでいる崇へと目を向ける。
「お前。まだ仕事中だろ。何だよ。」
崇は ん。。とコップから口を離し
キョドキョドと俺の顔を伺った。
「だから これ差し入れ。。」
紙袋からバゲットサンドを出し 上目遣いに
俺を見てから そろそろと春へ視線を移す。
やっぱりな。
溜息をつきながら 春へ視線を向けた。
「春。悪いけどお使い行ってくれるか。
京本さんとこでマンデリンの豆買ってきてくれ。
いつも通りって言えば分かるから。」
「わかりました。」
金を渡すと エプロンを外し 裏口から出て行く。
足音が聞こえなくなって 口を開いた。
「で。何だよ。尚之になんか言われたのか。」
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