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カフェオレ⑦

「どこ行くんだよ。」 佑さんは手をぶらぶらさせながら 横を歩いている。 そう聞きながら ちょっと面白いと 思ってる節があって。 黙って 笑みで返事を返し 商店街に入ると そのまま 健さんの店に直行した。 「なんだ。洋服買うのか。」 そう言いながら 二人で店に入ると 健さんが おう。と こちらに振り返った。 「まだなんか足んなかったのか。 ああ。春。こないだの大丈夫だったか?」 「はい。ちょうど良かったです。 ありがとうございます。」 ん? と佑さんが目で問いかける。 「たまたま前を通りかかった時に 健さんにシャツを頂いたんです。」 「メーカータグが切れてて売り物になんねえヤツな。 物はいいんだけどよ。サイズもデカくて 破格にしても あんまり売れないんだよな。 春ならちょうどいいかと思ってさ。」 そうなんだ。と佑さんは嬉しそうに笑みを浮かべた。 きっと 可愛がって貰っているのを 喜んでくれているんだろう。 俺が うまく溶け込めるか 最初かなり心配 してくれていた様に見えた。 「で? 今日は何だ。」 佑さんは答えようが無いから ただ首を竦める。 ポケットから白い封筒を出した。 事前に少しな。と言って渡してくれた金。 佑さんもそれに気づいたのか 「お前。使ってなかったのか。」と 目を丸くした。

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