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カフェオレ⑨

礼を言って店を出る。 そのまま 美智子さんの洋品店に入ろうとすると 俺の企みを把握した佑さんは 急いで俺の腕を引っ張ったが 正直 全く重くない。 「春。。ちょ。。ちょっと待て。。」 逆にずるずると引きずりながら中に入ると 美智子さんはニコニコと微笑み 椅子から立ち上がった。 「あらあら。二人揃って。今日はどうしたの。」 佑さんを見下ろし 男性用の下着がある場所を 指差し 口を開く。 「佑さん。下着選んで下さい。 もう全部ゴムが伸びていて 捨てないと。 この間なんて ストンって落ちて そのまま。。」 「ああっ! わかった!わかりました。」 佑さんは くしゃっと顔をしかめ この野郎。。と俺を少し睨む。 その顔が可愛らしく くすっと笑うと また諦めたかのように佑さんは クックッと笑い出した。 美智子さんは あらあら。と楽しそうに 俺たちを見比べ 「佑ちゃん。色々面倒見て貰ってるの。 まるでお嫁さん貰ったみたいね。」 またそう言われ 佑さんは絶句し 天を見上げて はぁ。。とため息をつく。 「こんなデカイ嫁 見た事ないでしょ。」 ぶつぶつ言いながら 下着を選ぶ佑さんを そのままに エプロンへと目をやった。 俺が買ってもらったデニム生地のエプロン。 サイズ違いを美智子さんに渡す。 目敏く気づいた佑さんは 「エプロンは別に。。」 「油でドロドロです。何回洗っても 洗った感じがしませんから。」 首を振ると はい。。と項垂れた。

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