46 / 74

カフェオレ⑩

出過ぎた真似なのは百も承知だった。 でも 金を返せないなら こうやって使わせて貰った 方がいいかと思いつき 半ば強引に事を運んだ。 それに実際に 色々と気になったし。 勝手な思い込みだけど。 佑さんはどこか自分の事には投げやりに見える。 健さんの言う通り 見た目とてもいいのに どうでもいいとでも言うように。 仕事とのギャップがありすぎて 敢えてそうしているのかと不審に思えるくらいで。 いつもニコニコと明るく 誰にでも優しく こんな俺にも別け隔てなく良くしてくれる。 でも 自分自身には何故か目を向けない。 投げやりで どこか寂しげで。 崇さんとの喧嘩も何か その辺りに 関係してるのかと思っていた。 とはいえ 自分の立場で踏み込んでいい事じゃない。 今は何も出来ない。 せめて最低限の事くらいは。 家政夫としての役割を果たす形で。 美智子さんに礼を言い 店を出ると 佑さんは 呆れながら俺を見上げた。 「お前。意外と強引なんだな。 まあ。でもそーか。確かにヒドイよな。」 そう言って 歩き出し ふと振り返る。 「ありがとな。人に気にかけて貰うのも久しぶりだ。 さすがにパンツは恥ずかしかったけど 嬉しかったよ。」 ニヤッと笑う。 ああ。。 良かった。 内心 行き過ぎを咎められても仕方ないと 思っていたから。

ともだちにシェアしよう!