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カフェオレ⑮

「大和さん。これお願いします。」 春さんはニコッと微笑みながら空いたバッドを 俺に渡してくれた。 「はいはい。売り切れるの早いなあ。」 すいません。と声がかかり 春さんは はい。とまたショーケースの方へ歩いていく。 「お待たせしました。何にしましょう。」 女性のお客さんは ポワンと頬を赤らめながら 「えっと。。このイワシのマリネと。。」 春さんは頷きながら 慣れた手つきで ショーケースを開け 惣菜をプラスチック容器に 盛っていく。 眼鏡を変えた春さんは更にカッコよくなり イケメン店員さんってこの辺りでは 評判になっていた。 若いお客さんも増えたしね。。 佑さんの作る惣菜は 定番のものから 中華、洋風まで種類があり 前から人気だけど 春さんが来てからは中休みの補充だけじゃ足りない。 大和は空いたバッドを洗い 冷蔵庫から 予備のきんぴらごぼうを出して補充する。 今日は学校の講義終わりに 夜のバイトに入った。 佑さんは商店街の寄り合いで不在。 まあ。あと一時間くらいで戻ってくるだろう。 最近 地上げの嫌がらせがまた始まったのか 今日はその辺の話になんだろーな。って 言いながら 佑さんは出かけていった。 生まれ育ち 過ごしたこの街の危機。 とはいえ 何も出来ない。 うちは親がサラリーマンで 商店街は買い物をする場でしかなく どういう話になっているのか親も知らない。 「商店街より大きなスーパーとかデパートとかに なった方がいいって言う人もいるのよねえ。」 って他人事のように母親は言っていた。

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