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カフェオレ⑱
地上げの奴らか。。
崇さんのパン屋にも変な奴らが来たって聞いてる。
陽太兄ちゃんが見回りに出てたみたいで
たまたま通りかかり 追い払って
くれたらしいけど。。
どうしよう。。
急いで交番に行って 陽太兄ちゃんを呼んで。。
その時 すっと春さんが ショーケースの横を通り抜け
女性に抱きついているチンピラの手首を取り
くるっと捻った。
簡単に体が女性から離れる。
「イテエ! い・・・て・・はな・せ。。」
チンピラはそのままコンクリートに蹲り
痛そうに顔をしかめながら
春さんの手を必死にタップした。
「こ・・この野郎!」
ガムを噛んでいた大男の顔色が変わり
拳を振り上げると 春さんはすっと
間合いを詰め 二本 指先を其奴の目に近づける。
「ヒッ・・。」
怯んだ大男の胸ぐらを掴んだかと思うと引き寄せ
何やら小声で話しかけると 大男の顔色が
サッと変わった。
「・・い・・行くぞ。」
大男は 痛そうに肩を押さえ蹲るチンピラの腕を取り
慌てふためきながら逃げていく。
その後ろ姿が見えなくなるのを確認し
春さんは何もなかったかのように女性に近づくと
「ご迷惑をおかけしました。大丈夫ですか。」
そう聞いて 優しく微笑んだ。
ぺこぺこと頭を下げながら女性が去っていき
ショーケースの脇を通って 中に戻ってくる。
ああ。。びっくりした。
心臓がドキドキ言ってる。。
「は・・春さんって。。強いんだね。。」
「そうでも無いですよ。
ちょっと空手をやっていました。体も大きいので
ハッタリも効きますし。内心怖かったです。」
そう言って情けなさそうに笑うけど。
嘘だよな。
空手は本当だろうけど。
武道をやってたなら この礼儀正しさは頷けるし。
でも至極冷静に見えた。
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