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カフェオレ⑲
「大和さん。この事は佑さんには
黙っておきましょう。大した被害にも
なりませんでしたし 余り心労を増やしたくも
ありませんから。」
春さんはニコッと笑みを浮かべ そう言った。
まあ。そうだな。。
地上げと関係してるとも限らない。
この辺りにもガラが悪いヤツは昔からいるし。
何より佑さんに心配させたくない。
せっかく元気になってきたんだしね。。
「うん。わかった。」
ずっと年下の俺にも 先輩だからと敬語で話す
春さんだけど もちろん俺より大人だし
なんだか 場数が違う気もする。
言われたとおりにした方が良さそうだ。
すいません。とまたお客さんが来て
春さんは接客に向かう。
その広い背中は頼もしく
この人が居れば 佑さんは大丈夫な気がした。
住み込みだからか 商店街の人たちに
佑さんの嫁とかって揶揄うように言われてるけど。
違うね。
番犬。
佑さん 番犬拾ったんだ。
ドーベルマン。。じゃないな。
もっと愛嬌があるジャーマンシェパード。。。
くすっと一人笑うと 春さんが振り返り
ん?と目で問いかける。
首を振り 時計に目をやった。
もう帰ってくるかな。
大和は急いで 残りの洗い物を片付け始めた。
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