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カフェオレ㉔

両親は殺されたのか。 田島興業というヤクザに。 今の口ぶりだと犯人は勿論捕まってもおらず 事故で片付けられたって事。。。。 ふっと足から力が抜け 修が慌てて支えてくれる。 コイツも顔色が変わっていた。 そりゃそうか。 お前も知らないよな。 俺に両親が居ないのは交通事故。 みんなそう聞いて育ってる。 足元がグラグラと崩れていく音がする。 俺は何も知らずにここまでのほほんと 生きていたのか。 じいちゃんもばあちゃんも何も言わなかった。 親が居なかったのはガキの俺にとっては とても辛い事だった。 学校で親無しってバカにされてケンカして。 授業参観や親が参加する行事は誰も来ない。 運動会で父親と一緒に走る競技は 木村さんが代わりにやってくれて。。。。 仕方がない事だって思ってた。 寂しいなんて言っちゃいけない。 しょうがないんだから。。。って。 それが。 そうじゃなかった。 それに。 もし。この地上げが俺が理由なら。 みんなが言うように 両親が殺された事が 原因なのだとしたら。。 修が掴んでくれた腕をそっと外し 踵を返す。 「お・・おい。佑。。ちょっと。。」 修の声がデカかったのか 座敷の中の声が 急に途絶える。 ガラッと襖が開き 真っ青な顔をした木村さんが 振り返った俺を見つめた。 「佑。。。。」 佑は呼び止める声に耳を貸さず そのまま逃げるようにその場を走り去った。

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