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カフェオレ㉙

家の前まで来ると電気がついていた。 ああ。良かった。 家に戻っている。 玄関の引戸をそっと開けると靴が 乱暴に脱ぎ捨てられていた。 一旦外に出て修さんへ佑さんが家に居たと 電話をかける。 勿論 非通知にはしない。 今更 取り繕っても仕方がないし きっと修さんは黙っていてくれるだろう。 ホッとした様子の修さんは 「佑の話。聞いてやってくれよ。頼むな。」 と俺にそう言って電話を切った。 携帯の電源を切り ポケットに仕舞う。 家に戻り中に入って靴を脱ぐと すぐに異変に気がついた。 入ってすぐの和室のタンスの引き出しが 全部開いて中の物が畳にぶちまけられている。 押し入れの中身も全部。 まるで空き巣が入ったかのように。 身構えながら奥へと進み 座敷の入口から 中を覗くと 仏壇がある和室のタンスや押し入れも 全て同じような状態になっていて やはり畳に 書類や衣服、色々な物が散乱していた。 何があった。。 中に入ると 縁側で佑さんが小さく背中を丸めて 座っている姿が目に飛び込んでくる。 「佑さん。」 声をかけるが全然耳に入っていないらしい。 びくとも動かず 近づいて様子を伺うと 佑さんは仏壇に普段飾ってあるご両親の 遺影を手に持ち ぼーっと一点を見つめていた。

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