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第7話

「陽平」 「せんぱい……ほんとに、来た」 「行くって言っただろ」 苦笑しながら言う先輩。 「てか、春樹って呼べよ」 「……はるき、さん」 「なにそれ。なんか、照れるんだけど」 はにかむように笑った先輩。 俺はその唇にそっとキスをした。 「風邪、うつるわ」 「あ……ごめんなさい」 「いいよ。うつして。そんでお前が元気になって、そしたら俺も元気になって……そしたら今度は、ちゃんと――」 「愛してくれますか」 「……今も、だけどな」 そのままベッドに押し倒され、俺は先輩を見上げた。 「陽平。お前はほんと、小さくて、素直で、馬鹿で……かわいいな。ごめんな。……俺、本当に愛してるから。俺はお前が一番好きだから」 「ほんとですか」 「そんな真っ赤な目で見上げんなよ。抑えきかねぇだろ」 「抑える必要、あるんですか」 「……勘弁してくれよ」 困ったやつ、と笑いながら、先輩は俺の首筋に舌を這わせた。 うなじに添えられた手が、まるで俺を食べるように抱き寄せてくる。 「はるき、さん……好きです」 「……ごめんな」 その“ごめん”の意味を、俺は深く考えもしないまま。 熱に浮かされるようにして、先輩と愛し合った。

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