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第8話
「ほんと、何度も言いますけど、どうして言ってくれなかったんですか」
「何度も何度も言うけど、こんなんかっこわるすぎて言いたくなかったのー」
「かっこわるいとか……そんな問題じゃ、ないですよ」
病院のベッドで、先輩は、何故か楽しそうに笑う。
俺はリンゴの皮を剥きながら、先輩に話しかけた。
「風邪拗らせるとか、ほんと、勘弁してください……」
「移したのお前だろ」
「あれは春樹さんがっ!」
「何赤なってんのー?思い出した?」
「もう、いいです」
はあとため息をついて、切ったリンゴを皿に乗せた。
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