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第1話の8(←皇帝ZENNと…×××なマリアの君)
ZENNの頭に手をまわす。首を抱き、身をよじる。
もう、もっと声だってあげてやる。
これにはZENNも驚いたようにマリアの顔をのぞきこんできた。
その瞳はどこか狂っているけれど、何か自分を気遣ってくれる暖かさをたたえているように思えた。
その瞬間、マリアは頭の奥に何かが芽生え、それが喉の奥から胸へとくすぐったく降りて行くような気がした。
これまでにも経験したことのある、しかしこれまで以上にはっきりとした感情…
(俺は、この人にひかれている? )
気づいてしまえば、もう引き返せなかった。
認めること、それは甘やかな感情に堕ちていくおののきを楽しむことだった。
生まれてからこのかた、経験したことのない男の腕。
こめられる力の強さ。そんなものにも心ひかれ、さらにその腕がZENNのものであることに、満たされつつあった。
(フィニッシュは、体を引き裂かれるって聞いてるけど…)
それでもよかった。ZENNとの特殊な関係の、何か証がほしいような気がした。
無言のまま、マリアはZENNに向かって誘うような目をしてみせた。
ZENNはどきっとしたようだったが、すぐにまた口づけてきた。マリアは思わず低い呻き声をあげた。
女みたいだ、と自嘲しながら、マリアはさらに「女みたいな」振舞いをした。
黒のマニキュアで彩られた爪を、ZENNの背に立ててみたのである。
しかし、今度はZENNはそんなことには構ってはくれなかった。
振り切るように彼の背は、唇は南下していった。
ZENNの方が一枚上手だったとマリアが気づいたのは、彼のブロンドが太腿を滑り落ちていくのを感じた時だった。
マリアに用意されたラストは、これまでで最高の快感にして…どうごまかすこともできない決定的な…屈辱だった。
カシャッ、とライターの蓋が閉まる音がして、ZENNのマルボロの匂いが漂ってくる。
「…グランデの連中には、早速明日、話を通す。インディーズの一年後には、間違いなく、メジャーだ。」
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