42 / 100
第4話の4◆マリアの君のドキドキベッド
が、彼はにんまりと笑い、
「大丈夫だ。ドームより音はいいから。」
そういう問題ではないのだが、ためらいは許されない。
CUEの、謹んで務めさせていただきます、の言葉に合わせ、MOON一同はぺこりと頭を下げた。
「それじゃあ、詳しいことは後日、業務連絡ということで…」
まだ事務所を持たない自分達の身の上が、マリアはとても気になった。
「飲み会はいつもこんなところだったよねえ。でも、昔は全員、揃えたよね。」
SHOがしみじみと言うと、ニッキーも、
「俺達の時なんてもっと安いとこだった。そういやMOONのみなさんは、レコーディングの前に仁さんになんて言われた? 」
波長が合うのかニッキーに親近感を持ったらしいタカネが率先して笑顔で答える。
「特になかったですけど。」
「いいなあ、俺達なんて、仁さんに、『とにかく売って下さいね、ウチは赤字なんですから』って言われまくったよ。」
「時代も変わったねえ。」
「ほんとですよねえ、SHOさん。金のかかるお耽美ムードもなかなかできなかったし…そうだ、社長、例のベッド、まだ部屋に置いてるんですか? 」
写真集の撮影の時に使ったベッドが、傷がついたと持ち主にクレームをつけられ、やむなくZENNが買い取ったのだという。
マリアは懸命に平静を装った。
ともだちにシェアしよう!