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第4章の11(←マリアの君の過酷なツアー)

「でも、ギルティーが華々しく打ち上がってからもう五年、まわりの状況も変わるし、バンドの連中の気持ちも変わっていく。いつまでも、ビジュアル系の時代ではないと、もっと音楽を聞かせたいと、ニッキーなんかは言う…それじゃあお前達は見た目に負けるような音楽しかしてこなかったのか? って俺は言いたくなるけどね。」 「…」 「その点、MOONは…まだまだピュアでいいな。お前達を見てると、原点に戻るような気がする。」 ZENNの笑顔に、マリアはやっと長い間の疑問をぶつけられそうだと思った。 「俺にどうして、マリアっていう名前を思いつかれたんですか? 」 「女じみた名前はお前が嫌がるだろうと思ったからだ。女の子みたいって言われ続けたのがいやだったんだろう?俺もそうだったから見ればわかる。」 確かにその通りだった。 「それで…? 」 「その名前から逃れるためには、俺の力から逃れるには、死にものぐるいになるしかなくなる。それを俺は期待したんだ。」 (見た目で判断しないでくれ! ってガキの頃から訴えて来た俺やお前だからこそ、人がどれほど第一印象ってものに引きずられるかわかるんじゃないか。だから、過激な音を予感させるビジュアルにこだわるんだ…)  そこで目が覚めた。移動中の車の中。  ドン・ペリもバカラのグラスも砕け散る。  インディーズ・デビュー後の二回目のツアーはそんな感じの過酷なスケジュールだった。

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