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第4章の13(←マリアの君の死のロード?)

 ツアー前、メジャー行きの報告に実家に帰った時、喜んだ母と田所には、何枚ものテレホンカードを渡された。 これが和解のきっかけになると思ったのだろう。 マリアの方も、それを無下にはできず、何回かは電話した。  しかし、音楽雑誌でツアーの過酷さを知った母が、ファイナルの前の「死のロード」ともいうべき二十日間が終わったら、帰るのは実家にしなさいと言い出して、困ったマリアは連絡を絶っていた。  その分のテレホンカードは由真との電話にまわっていた。 ―…夏休みは誘惑が多いから、お前も気をつけろよ。ヘンなとこでバイトなんかすんなよ。 ―マリアこそ… 由真の声がとぎれる。 マリアは苦々しい思いをする。 由真を傷つけた過去。 そして、誰にも知られていない、ZENNとの関係。 しかし、彼女を傷つけまいとすれば、隠し通すしかない。冗談めかして言った。 ―…何言ってんの? 由真は俺のこと信じられないの? ―…ごめんなさい、そんなつもりじゃ… ―わかればいいよ… 夜中のコンビニの前の公衆電話。目を転じればみんな買い物も済ませ、車に乗り込んだらしく、タカネが怒ったように手招きしている。 ―それじゃまた電話するから… 嘘は言ってない。地方にはZENNは来ない。  誘惑は確かに多かったが、それに応える体力も気力も時間も五人にはなかった。

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