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第4章の16(←ベッドで掴む巨大な財宝?)
それは、日本中を回って、自分は注目され始めている、自分を愛してくれるファンがあちこちにいる、そんなことを知ったせいなのだろうか。
あれだけ多くの観客に手を差し延べられている自分が、こうして一人の男にいいようにされている。
それはたまらない屈辱だった。
つらい日程の中で心の支えには、ZENNの期待に応えたいという思い、
ZENNに近付き彼を越えたいという思いもあったにもかかわらず、
こうして組み敷かれれば、自分のバンドがまだまだ小さいことを思い知らされているだけのような気がした。
そんな気持ちが伝わったのか、ZENNの方もノリが悪く、なんとなく気まずいムードになってしまった。
なんとかしなければ、と焦るのだがうまい言葉が見つからずにいると、ZENNの方から、
「ほうびというのは…」
「えっ、まだあるんですか? 」
「何だ、その、まだ、っていうのは。」
「えへへ。」
「可愛いおクチはよく動くおクチだな。」
ZENNの口調の冷ややかさに、マリアは黙るしかなかった。
ZENNはそれには構わず、
「ギルティーズの、ラストのセッション大会でやる曲は、今年は俺達の『ROSE』だ。
そのギターを、まあ、本当はメジャー前の奴にはセッションで楽器は持たせないんだが、
麗華のパートをお前にやらせてやる。
特にギターソロは頑張れよ。
間違えば、ここでどんなサービスをしようと、
俺にもフォローのしようがないし、する気もない。」
このベッドにはどれほど驚くことが隠されているのか。マリアは感嘆するばかりだった。
「ありがとうございます。」
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