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第4章の17(←バレそうになる?マリアの君)

 先輩の中で間違えば、もう帝国にはいられない。ROSEのコスプレやファンにも半殺しにされるに違いなかった。  でも、成功すれば、確実に、評価は上がる。そんなことを考えていると、なげやりに、まあ、せいぜい頑張ることだ、と言いながら、ZENNはまた腕をマリアにからめてくる… ふと、マリアはニッキーのことを思い出していた。 同じように気に入られるのでも、どうして彼のような気に入られ方ではなかったのだろう…  …ZENNはマリアの胸に頬を埋めたまま、うつらうつらを始めていた。  …お稚児さんと戯れるには若くて美し過ぎる「パパ」だった。  …マリアは「ROSE」のメロディーが頭の中に流れ続け、なかなか寝付くことができなかった。  それでも、いつしか眠ってしまっていたのだろう。隣でZENNが動く気配で目が覚めた。カーテンの向こうは日も高いようだ。 「マリア、今、何時だ? 」 時計を見たマリアの声はうわずった。 「二時過ぎです…」 「お前もまずいのか? 急いで服着ろよ。浅川達が迎えに来るから、一緒に乗せて行ってやる。」 「大丈夫ですか? 」 「麗華やニッキーもやったから、大丈夫だ。」 「えっ? 」 「お前、何かカン違いしてないか? 」  ZENNが言う通り、間もなく迎えに来たボディーガードの浅川は、久し振りに見るマリアに驚いた様子もなかった。  が、撮影のスタジオでZENNがベンツから降りる時、彼を迎えたマネージャー他のスタッフは、マリアが乗っているのを見て目を丸くした。 仕方なくマリアはそのまま車中からみなにお辞儀をし、ほど近いMOONの事務所まで乗せて行ってもらった。  恐縮するマリアを気の毒に思ったのか、ドライバーの大戸は優しく話しかけてくれた。 「社長は飲み始めると長いから、大変でしょう。」 マリアは曖昧な笑みを浮かべるしかなかった。

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