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第6章の1←マリアの君のレコーディング

「MOONはセルフ・プロデュース」  ZENNの決定を永山から聞いた時、MOONのメンバーはどれほど喜んだかしれなかった。 メジャー・デビューのアルバムのレコーディングで、バンド自身がプロデュースしていいと言われたのはサディスティック・エモーション以来のことだったからである。 それは、バンドの音の確かさが認められたということだった。  が、新年早々突入したレコーディングの準備は予想以上の苦労だった。 曲はライヴで好評だった曲も多かったし、それ以外も、マリア、CUE、シヴァの三人のコンポーザーの自信作ばかりだったので問題はなかった。 しかし、演奏は、音は…メジャーとして求められるレベルは越えていたものの、自分達で納得できるものをとなると、何度もやり直しだった。 自分達の未熟さがいやというほどわかったつらい作業になってしまった。  それと同時進行のジャケット撮り、ポスター撮り…雑誌の取材も増えていた。 気がつけば、プロになったからといって、純粋に音楽に触れている時間が多くなることはなかった。 ただ、それ以外の作業も、自分達の音楽に直接関わっていると思えば、マリアはいくらかほっとするのだった

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