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第6章の7←メンバーを気遣うマリアの君
いわゆるロックバンドにはなく、MOONにあるのは何時間もかかる美しい、厚いメークと、それを生かした美麗なグラビア、ビデオの撮影だった。
さらに、できあがったものはすべてメンバー自身がチェックする。そのために彼らは睡眠時間もなくなる。
ここまでして多くの人目をひき、その中から自分達の音楽に共感してくれる人と出会わなくてはいけないなんて…口にこそ出さなかったが、由真にはあまりに過酷なことに見えていた。
さらにマリアの時間を奪ったのは、バンドの営業部長的な役割だった。
アマチュア時代にはそれを一緒に分担していたCUEとタカネが絶不調だったからだ。
華やかな外見に似合わず職人気質のCUEは、ファンの集いはともかく、ロックのことを知らないライターの取材や、プロモーションのためのラジオの出演といったことがものすごく苦痛らしく、不眠症じみた状態になっていた。
神経の細いタカネは、そんな彼をフォローするように、取材やラジオでは場を盛り上げるようなムードを作るが、身内だけの時はどんどん無口になっていった。
繊細な彼は、初対面の人間に気を使い過ぎていたのだ。そんなメンバーを駆り出すわけにはいかない 。
MIKUの恵まれた喉のことを考えれば、彼を酒の席には出せない。
シヴァは飲み会が苦手だし、バンドの守護神には、こんな時こそどっしりとかまえていてほしかった。
結局マリアが夜の誘いを単身で引き受けるしかなかった。
ギルティー以外のいろんな先輩のところもまわった。
同じような音楽性のバンドから、ROSEとのからみもあってハードロックまでである。
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