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第6章の9←マリアの君と麗華の君
ROSEの音楽性にいまだに異議を唱える頭の堅い、昔からの知り合いのミュージシャンに匂わされた時は笑い飛ばした。
しかし、ROSEの事務所から期待されてアナスタシアの事務所に送りこまれたスタッフが、ZENN達とバンドとの板挟みに堪えかねてとうとうやめることになった。
その彼に、洗いざらいぶちまけられては、何も言えなくなった。
「…確かにアナスタシアにもマズいところはあったかもしれませんよ。
でも、あいつ達も、ZENNさんの可愛いボウヤのために、恥をかかされて…」
「何だよ、その可愛いボウヤって…」
古くからの図々しい追っかけの女に、アナスタシアのメンバーは面と向かって言われたのだという。
あなた達もMOONのマリアのように、ZENNと寝れば良かったのに、と。
その後、その女と関係がある人間なのか、
マリアがZENNのマンションに入った時刻と帰った時刻を克明に記したメモと、
証拠だというのか昼間、ZENNのベンツに乗っているマリアとおぼしき人物の写真が、
アナスタシアのメンバーあてに送られてきたという。
「それじゃあ、ZENNちゃんは今のマンションも見張られてるっていうのか! 」
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