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第6章の10←マリアの君、実は業界のサラブレッド

「僕がしたいのはそんな話じゃありません。マリアが女だったらとっくに写真週刊誌の餌食になってるくらい、社長のマンションに通ってるということです。 移籍組は一度だって呼ばれたことがない。マリアばかり、MOONの他のメンバーだって呼ばれたことがないのに…よっぽど、おべっかを使ってるか…」 「その先はもういいよ。いくらあんたでも言い過ぎだ。」 「…社長と寝てると言われても仕方がない。 まあこの世界、コネがものを言うんでしょうけどね。」  「…」 「みんなの噂になってますよ、シヴァあたりも聞いてるんじゃないかな。 あの、堕天使の撮影の時だって、社長はマリアとのからみにテレまくっていたそうじゃないですか。まあ、ステージネームもらってるくらいだから…」 「ZENNちゃんがノーマルなのはみんな知ってるのに…」 麗華がうんざりして言うと、 「社長はそうでも、マリアの手にかかれば、どうでしょうね。」 「それどういう意味だよ。」 「アマチュアの頃、スタジオ代に困れば男とも女とも…」 とうとう麗華はキレた。 「いい加減にしろ! マリアはバイトに困れば親父さんの遺産で食ってたんだ!  アイツが嫌がるから言わないけど、マリアの父さんはグッドストックの佐伯さんだ。 生きてりゃ江波さんクラスの大物だ! 」  みんな面白がってあることないこと言いやがって… 麗華ははらわたが煮えくり返るようだった。

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