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第6章の11←マリアの君の存在に悩む麗華の君
しかし、マリアも気にくわない。
何度も一緒に飲んでいるのに、ZENNの部屋に行ったことを麗華が聞かされたことはほとんどなかった。
だが、すぐに麗華は気づいた。
ZENNに呼ばれれば仕方がないとマリアは主張するだろう。それならばまず、ZENNの方に言わなければ、と。
嫌な気持ちになりながらも、ZENNに電話をかける口実ができたことをよかったと思っている面もあった。
というのは、ROSEは四枚目のアルバムに向けての曲作りの期間なのだが、彼の曲があがらず、ぐずぐずと締切りが延びていたからである。
誰も指摘しなかったが、ZENNはすでに三枚目の時から曲の冴えがなくなっているように麗華には思えていた。
とすれば今回も…人のことを心配するゆとりはないはずなのに、気にかかって仕方がないのである。
マリアとの噂を、受話器の向こうのZENNは相手にしなかった。見張られているという話は言い出せなかった。麗華はやむなく、
―誰も、あんたをよく知ってる奴はそんな、デキてるなんて思わないさ。でも、決まった人間しか入れないはずのZENN様の部屋にマリアがしげしげと通ってるなんてウワサ、彼のためにもよくないと思うけどね。
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