85 / 100
第6章の15←後ろめたいマリアの君
いずれこんな日が来るとは思っていたが、さすがにマリアにはこたえた。
麗華にまで誤解され、そのうえどうあがいても自分はZENNの高みには行けないと言われ…
他のメンバーにもどう思われているかと思うと、マリアの心の支えはファンとZENNだけだった。
そんな時に不可解なニュースが流れてきていた。ROSEが四枚目のアルバムのリリースを無期延期すると発表したのである。
このために、ファンの問い合わせが殺到し、事務所やレコード会社その他関係各方面がパニックになっているという話がMOONの許にも聞こえてきていた。
ZENNの身がマリアは心配になったが、自分の方から連絡を取るのもはばかられた。
が、電話ではZENNはいつもと変わりないようだった。むしろ様子が変なのは、マリアの方だった。
―…マリア、どうした? 来たくないのか?
―…いえ…
―何だ? はっきり言えよ。
―…麗華さんに…ZENNさんの部屋には行くなと言われました。
―麗華のやつ…何を考えてるんだ…マリア、マリアの気持ちはどうなんだ?
―もちろん、行きたいです。
マリアがZENNに呼び出されたのは、麗華もいる、ROSEの関係者の飲み会だった。
ZENNはやや不機嫌だったが、またマリアを自分の車に誘った。
麗華の視線は後ろめたく思いつつも、無視した。
ともだちにシェアしよう!