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第6章の19←マリアの君が知った狂気。

 仁の電話が終わると、ベッドの上で、二人はしばし無言だった。 マリアも何と言ってよいかわからなかった。 話には聞くが、ファンの数が増えていくとはこういうことか。 自分達を理解してくれる人間が増えれば、次には自分達を愛し過ぎ、狂ってしまう人間が現れるのか。  そんなことを考える一方で、マリアは目の前のZENNがいとおしくてならなくなっていた。 初めてこの部屋に来た夜のように、彼を守りたいと痛切に思った。 「ZENNさん寝て下さい。俺、電話番やりますから。」 そう言って、携帯と子機を引き寄せようとすると、ZENNはしみじみと、 「マリア、お前も気をつけないと。知らない人間には、俺とお前は似た者同士だ。」 「そんな…とんでもないですよ…」 「いや、実際、そうなんだ。最初に言っただろう。俺とお前は似てるんだ。 虚勢を張って、自分の弱さを隠して。女みたいな顔立ちが、他の男よりも弱いというレッテルを引き寄せるから。」 すると勢い良く抱き寄せられ、マリアはそれこそ女の子のようにZENNにしがみつく破目になった。 「こんな風に、男の良さをたっぷり味わうなんて男らしい趣味も、女のように女々しいからだと言われてしまうのかな? 」 ZENNの切なげな表情に、マリアの決意はかたまったようだった。 (たとえ自分が悪者になっても…俺はこの人を守りたい…)  寝不足でふらふらしながら、マリアが自宅にたどり着いたのは昼過ぎだった。

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