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第6章の21←難題続くマリアの君。

「だから聞かないで、って言ったのに。」 ―…ZENNさんの部屋の窓から、裸のマリアが下を見下ろしているのが見えたこともあります。ゆうべも…マリアはZENNさんのマンションに行ってます。 ファンはみんな知ってます。ZENNさんのファンは怒ってるけど、マリアのファンは喜んでます。 まあせいぜい、マリアのお世話をお願いしまーす。 マリアは言葉もなかった。 「マリア、ごめんなさい…でも、こうして話してるのがファンとは限らないし…」  由真も困っているが、それは、マリアの心配とは違ったようで、マリアはほっとする。 「もしかして、こんなこと、これまでに何度もあった?」 部屋の電話に直接由真が出ることはない。 留守録にメッセージが吹き込まれ始め、自分が出ていい電話だとわかれば受話器を取り上げる。 マリアの代わりに出なくてはいけないのは、事務所かメンバーからの電話だけだった。 そして…由真は知らないことだが、ZENNはマリアの携帯にしか電話しない。 そして、留守録のメッセージは絶対に残さない。 「…二度め、よ。」 「…」 「高校生くらいの女の子ってこういう話つくるの、好きじゃない? マリアが私みたいな普通の女の子とつきあってるより…夢が壊れないでしょう? 」 もちろん由真はまったく疑っていない様子だった。 それよりも、ファンのためにとハードスケジュールに堪えているマリアがファンに悪い印象を持ってはと悩んでいるようだった。 その表情を先に見てしまったために、マリアは無意識のうちに怒りを押し殺してしまったようだった。

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