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第6章の23←マリアの君、麗華の君と和解。
仁のお墨付きをもらったZENNがいそいそとマリアを伴って行った先は、解散の噂が流れ始めたミツグのバンド、シークレット・ラヴァーズの武道館だった。
打ち上げの席で、ZENNはわざとマリアを片時も離そうとしなかった。当然それはみんなに注目された。
「本当にマリアがお気に入りなのね。」
座の困惑をどうにかしようとするように、ライターの河野がそう言うと、彼はあっさりと、
「うん。すごく気が合うから…仁がミュージシャンだったらこんな感じだと思って…」
ZENNがようやくシークレット・ラヴァーズのメンバーのところへ行ったのを見とどけると、肩が凝ったマリアはレストルームに向かった。
とそこで、最近最も顔を合わせたくない相手、麗華が遅れて駆け込んで来たのと鉢合わせしてしまった。
「なんだ、お前も来てたのか。」
「はい…」
以前のように素直な笑顔を浮かべることができなかった。それを見て取ったらしい麗華は、
「もうあんなお節介は言わないよ。まあ、追っかけに見張られてるZENNちゃんを、守ってくれよ。」
「えっ? 」
自分のZENNの部屋での出入りの時刻が何者かにチェックされていたのを、マリアは初めて知らされた。
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