94 / 100

第6章の24←マリアの君にライバル出現?

「…そんなだからさ、お前が遊びに行くくらいが楽しみなんだろうからさ。それに、またZENNちゃん忙しくなるから…」 「レコーディングですか? 」 「聞いてないんだ。そうか。ZENNちゃん、また新しいバンド発見したんだよ。 で、今度は自分で徹底的に磨きたいって、プロデュースするって。インディーから。」     びくっ、と体が勝手に反応した。フォローできなかった。麗華も驚いたようだった。 「だ、ダーリンてバンドなんだけどさ。ギターの有乃って奴が、そうだな、お前くらい背があって、目つきがきつくてカッコいいんだけど、そいつが全部曲も詞も書いてるんだけど、いいんだよ。それがまた。」 その後の話はほとんど耳に入らなかった。麗華の方はソロ活動をすることなど…  ZENNとマリアのじゃれつきにややカモフラージュされたような形にはなったが、ミツグ達の冷めた空気はいつしか打ち上げの会場全体に流れ、マリアにもこのバンドの解散は現実になるのではないかと思わせた。 そんないたたまれない空気の中、マリアは初めてZENNに肩を抱かれたまま、みんなに別れを告げることになってしまった。  車の中でも、ZENNは手をつないでくる。この露骨さは…信じられなくて、マリアはかえって疑ってしまう。 (今度は俺がカモフラージュなのか? どんな奴らなんだ、『ダーリン』て…)

ともだちにシェアしよう!