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第4話

「キャプテン! 何やってるんですか!? 樹、大丈夫か?」 そこに現れたのは騒動の張本人である篠木先輩、あぁ、この大きい人、サッカー部のキャプテンなんだ。通りで物言いが少し偉そうだと思ったよ。 「篠木先輩、あなたが部活を辞めるのは勝手ですけど僕にまでいちゃもんつけられるのは迷惑です! 僕、関係ないんで部活の話は本人同士で話を付けてくださいね」 「キャプテンが樹に? それは申し訳なかった」 そう言って篠木先輩は僕に頭を下げる。何だかね、篠木先輩って割とこういうとこ礼儀正しくて、四季兄を病院送りにしたの嘘みたいに穏やかな人なんだよね……あの事件の後も平身低頭で土下座せんばかりの勢いで謝られたから、なんとなく許しちゃったんだけど、そんな人がなんであの時だけはああなっちゃったのか、僕にはよく分からないよ。 「篠木! なんでお前が頭を下げる必要がある!? それはおかしいだろう!?」 「おかしくなんてないですよ、樹は俺の番相手で生涯を共にする伴侶です! 尊厳を持って接するのは当然でしょう?」 「いや、待って! 僕達まだ付き合ってすらないですよね!?」 物腰穏やかにこられるとつい絆されがちだけど、言ってる事は滅茶苦茶で頭が痛い。 「樹はそんなに俺が嫌いか?」 「嫌いとかそれ以前の問題ですよ! 僕は先輩を知らないし、先輩だって僕の事全然知らないでしょう!? 僕、自分が可愛い自覚はあるんで、顔に惚れられるのは迷惑です。むしろ、そういう人は嫌いです!」 「俺が樹に惚れたのは顔じゃない! そもそもあの時、俺は樹の顔を見ていない」 あぁ、そう言えばそうだった。あの時、発情期(ヒート)のせいで溢れ出したフェロモンに困った僕は、男子トイレの個室に籠って四季兄に助けを求めたんだ。そんな時に現れたのが篠木先輩で、僕が個室から外に出たのは篠木先輩が連行された後だったから僕もその時点で篠木先輩の顔を確認してないんだった…… だけど変だな? 僕は謝罪に来た篠木先輩を一目見た瞬間からそれがあの時の人だってすぐに分かったんだ。名前だけは聞いてたけど顔は知らなかったはずなのにね。 「ああもう! どっちにしても部活云々は僕関係ないんで、お二人で相談の上で決めてください! 僕は失礼します!」 そう言って僕は踵を返す。あぁ~あ、厄介な事に巻き込まれちゃったなぁ……

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