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第14話
レイはジュリアンの答えを聞いて黙り込んでしまった。その瞬間を見逃さずに、ジュリアンはレイを抱き寄せる。
「……レイモンド、ずっと会いたかったんだよ。四年間……長かったな。またこうやって二人きりで会えるなんて、本当に嬉しいよ」
そう言って、彼はレイにキスしようと顔を近づける。だが、レイは顔を背けた。
「昔みたいに、キスしてくれないのかい?」
「僕にあんなにひどい事しておいて、今更何言ってるんだ」
レイは苦しそうに言って、ジュリアンを睨み付ける。
「……きみは、とても綺麗になったね。あの時のことは許してくれ。僕はきみが欲しかったんだよ」
「それで僕を騙したのか?」
ジュリアンは、じっとレイの顔を見つめる。そして何かに気付いたように、眉を寄せて言った。
「レイモンド……きみは男を知ったね? 僕がいない間に、きみを抱いた幸せな男は、一体どこの誰だい?」
「なっ、何言ってるんだよ」
レイは真っ赤になって慌てて言い返すと、ジュリアンの腕から逃れようともがく。
「教えてくれ、きみはベッドの中でどんな顔をして恋人の目を楽しませてるんだい? どんな喘ぎ声で恋人の耳を楽しませてるんだ?」
「止めろよ!」
レイはようやくほうほうの体でジュリアンの手から逃れると、肩で荒く息をしながらドアへ駆け寄る。
「僕のところへ戻っておいで。どこの誰だか知らないけれど、そんな男よりも僕の方がずっといいだろう? 今度こそきみを幸せにしてあげる」
「嘘だ! 僕を一体何だと思ってるんだよ! お前の言葉なんか絶対に信じない……二度と、絶対に……」
そう言ったレイの榛色の瞳から、ぽろぽろと涙がこぼれ落ちる。
「レイモンド?」
レイは乱暴にドアを開け、外へ飛び出していった。
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