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第47話

13. 「どうする? チューブ(地下鉄)使う? それともバスで行く?」 「天気もいいし、バス使っていくか。チューブ使うのもバス使うのも、大して時間は変わらないだろう」  リチャードは、携帯電話のアプリケーションソフトを使って、オールドストリートまでの経路を調べる。 「……オックスフォードサーカスまで出て、55番のバスルートを使うのが良さそうだな」 「OK、それほど遠くないし、散歩がてらバスストップまで歩こうよ」  二人は事件についての考察をお互い述べながら、目指すバスストップまで歩く。レイのギャラリーがあるホワイトキャッスルストリートからリージェントストリートに出たら、後は真っ直ぐ一本道を北上するだけだ。  緩やかに湾曲したリージェントストリートは、道の両側に大小様々な店舗が建ち並び、ロンドンの中でも一、二を争う賑やかなショッピングストリートだった。たくさんの観光客や買い物客が、午前中から通りを行き交う。  二人は街行く人々の間をかいくぐりながら、10分弱で目的のバスストップへ着いた。 「次のバス、何分後?」  レイの質問に、リチャードは携帯電話の画面を見て、すぐに答える。 「あと二分で来るよ」  その言葉の通り、すぐに目的のバスが到着する。二人は混雑する一階席を避けて、階段を上がり二階席へ向かった。 「リチャード、一番前の席が好きって言ってたよね」  レイはそう言うと、空いていた最前列の窓側に座る。  混雑していた一階席と違って、二階席は誰も座っていなかった。  二人は座席に座ると、流れゆくロンドンの街並みを眺めながら、ぽつぽつと他愛のない話をする。  と、ふとリチャードが気付いたように、表情を緩めるとレイに向かって質問した。 「レイ、ダブルデッカーバスのアッパーデッキ(二階席)で、一番ロマンティックな席ってどこだか分かる?」 「……何その質問」  レイは呆気にとられた顔で、リチャードを見つめる。 「いいから、考えてよ」 「うーん、一番前の席かな……?」 「はずれ」 「じゃあ、どこなの?」 「一番後ろ」 「どうして!? 全然意味が分からない!」 「バスの乗客は全員前向いて座ってるから、一番後ろの席ならキスしても誰にも見られない」 「……」

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