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【ようこそ 性欲処理課へ!! ① ただ好きって言わせたいだけの話】
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【キャラ紹介】
*ゴリ
処理課の課長。バリタチ。情に厚い。BBと交際中。
*BB
処理課の一員。ネコ専。妖艶スーパービッチ。ゴリと交際中。
*マグロ
処理課の係長。タチネコ両方。寡黙。ショタと交際中。
*ショタ
処理課の一員。ネコ専。ハイパー守銭奴。マグロと交際中。
依頼を全て終えたゴリとBBは、手を繋ぎながら事務所を出て行くマグロとショタの背中を見つめていた。
「マグロクン、今日も大好きだよっ」
「…………」
「も~! 頷くだけじゃなくて、ちゃんと口で言ってくれなきゃヤダ!」
「……す、好き……っ」
「えへへ~。知ってるっ」
チョコレートケーキの上にザラメをふりかけ、その上から更に、溢れんばかりの蜂蜜をかけたかのような甘ったるいやり取りに、BBはげんなりとした表情を浮かべる。ゴリはゴリで、我が子を見守るような温かい表情を浮かべていた。
事務所から二人が出て行ったのを確認した後、BBはおもむろに口を開く。
「あの二人、最近すごぉく『いちゃいちゃ』してると思わへん?」
「ん? そうか?」
色恋に関してゴリは鈍い。それは他者だけではなく、自分に関してもだ。
そうと知っているBBは、わざとらしく肩を竦めてみせた。
「あそこまで『おぉぷん』に気持ちを伝えられるんは、いっそ尊敬やね」
「羨ましいのか」
帰り支度を始めていたBBの動きが、ゴリの一言によって止まる。
BBがゴリを見やるも、ゴリは書類を眺めているだけで、BBの事は見ていない。
特に深い意味の無い相槌だったと判断したBBは、ムッとした顔をゴリに見られないよう、視線を逸らす。
「どうやろね。僕、あんな甘ったるいやり取りご無沙汰やから、よう分からんわ」
ゴリと恋人らしいセックスはするけれど、好きだ愛してるだなんて言葉、滅多に交わさない。そのことに疑問は無いけれど、BBは若干の不満を抱いていた。
――BBの性格上、口にはできないが。
わざと嫌味っぽい返答をするも、ゴリからの反応は無い。
書類を眺めていたから、話半分で自分と会話していたのだろう。そう思うと、BBは尚更腹立たしさを感じてしまった。
鞄を手に取り、事務所を出ようとBBが歩き出す。
「大好きな仕事に忙殺されへんようにね」
大人げないとは分かっていながらも、BBは悪態を吐きながら歩く。そのまま振り返りもせず、扉に向かって手を伸ばした。
――が、その手は意図しない方向へ引っ張られる。
強い力に引き寄せられて、BBは上体のバランスを崩した。
「え――」
「俺にも、下らん矜持というものがある」
BBは不意に、厚い胸板へ抱き留められる。
何が起こったのか分からず、声のした方へ顔を向けると同時に、BBは息を呑んだ。
「お前さんは美人だから、夜道が心配だ。送らせてほしい」
耳元で甘く、囁くようにそう言われて……何も感じない程BBは枯れていない。
BBを抱き留めているゴリは、BBが硬直したことに気付いている。そしてBBも、自身が過剰反応したことをゴリに悟られていると、気付いていた。
だからといって、BBは素直に甘えられる性格ではない。
「仕事の方が好きなんやないの?」
「お前さんの方がいいに決まっている」
「いいって、どういう意味?」
ゴリの手が、頬に添えられる。BBはムッとした表情を浮かべ、頑なに視線を合わせようとはしない。
「矜持って……ほんと、下らんわ」
「そうでもないと今、気付いた」
「何そ――んっ」
――不意に、唇が重なる。
触れるだけのキスにBBは驚くも……ゴリの顔を見て、全てがどうでもよく感じられた。
「拗ねたお前さんの顔は、最高にそそる」
そう言うゴリは笑っていて、だからこそBBは顔を朱に染めてしまう。
結局、求めていた言葉は得られなかったけれど……ゴリにキスをされたら大抵のことはどうでもよくなる。そんな自分に辟易しつつも、BBは一言「送らせたる」とだけ呟いた。
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