3 / 13

第3話

「んんんっ」 温かい手のひらに包まれ擦られると、ゾクゾクと大和の背中を未曾有の快楽が走り抜ける。 「佐賀っ、島っ」 「確かに感触の良いラブオイルですね、少し塩っ辛いですが、このヌルつき加減が最高です」 「あっ、何言って、く、あっ」 指で広げた後孔に舌をねじ込んで抉るように舐めると、大和の前は直ぐさま兆しを表し始めた。 ここ数ヶ月の内に慣らされ続けてきた身体は間髪を入れず従順に反応する。 「や、んな、トコ、舐め…っ、ふっ、んっ」 岩場を握り締めながら、顔を俯かせる大和の鎌首を擡げた先端からは透明な液体が流れ落ち、湯船の水面に王冠を作る。滑り気を帯びた尖端を指先で触れると、トロリとした淫液は佐賀島の指をしとどに濡らせた。 「こちらも同じようにヌルヌルしていますよ」 「んっ!んんんっやっ…やぁっ」 お湯と先走り、二種類の滑りを借りて擦り上げると、急速に大和自身の硬度が増した。 握り締めれば大和の鼓動が手のひらから腕に伝わるほどだ。 「いつも以上に速いんじゃないですか?こんな場所でも、感じるんですね貴方は」 「なっ…馬鹿っ、が…っ」 「馬鹿、ですか?俺が?」 温泉の湯をラブオイルなどと巫山戯た喩えをするようなヤツに、そんな事を言われる筋合いはない。 馬鹿はお前だと皮肉に口端が吊り上がる。 「それともワザと焚きつけているんですか?」 「なっ、何っ?」 「いいえ、何も。そういうとこ、天然でしたね貴方は」 身体を浮き上がらせ抵抗しようとした大和の尻朶を広げると、佐賀島は指の腹で後孔をきつくなぞり上げた。 「ふぅぅんんっ」 色味を増した窄まりが、俯いて押し殺す大和の声とリンクして、佐賀島の指に吸い付くようにキスをする。ゆっくりと筋を辿れば身体は歓喜に震え上がり、指先が離れようとすれば追いかけるように、大和の腰が突き上がる。時折ヌチュリと音を立て、入口付近を広げると、 「佐賀、島っ…っ、もっ、それっ、あ…っ、アッ」 大和は堪らず悲鳴に近い声を上げた。 まるで心臓が内側から叩いているようだ。 屋外での行為、しかもいつ誰が来るとも知れない場所。 恥辱と緊張感に溢れ、過敏になってる神経が大和の呼吸を激しくさせる。 「あっ、あぅっ、佐賀、島っ、も…、もうっ」 佐賀島の何時になく焦れったい指テクに、正気の沙汰がぶつりと切れそうだ。 感極まる声を上げ、短く息を吸い上げる。 「イきそうですか?」 「…っ!」 腫らせた前を強く握られ、身体を伸び上がらせる大和の一瞬の隙を突いて、佐賀島はヌルつく湯と大和自身の滑りを借りて、指をツプリと後孔に進入させた。 「では、貴方の大好きなこちらで昇天しましょうか」 「はっ…んっ!」 骨太の長い指を遠慮無く突き刺され、それが数回中で円を描く。温まった指に滑りを借りて、引き攣る感覚も拒否感も最早ない。だが、与えられた感覚に大和の中は佐賀島の指を異物と感じて排除しようと蠢く。 「相変わらず、慣れませんね」 いつまで経っても狭いままだと直ぐに第二関節まで引きずり出すと、大和の呼吸も揃わぬ間に指の本数を増やし、また再び内壁をかき分けるように指を進ませた。 「ひぅっ…いんっ…いっ!」 深まる刺激に大和の身体が強ばる。そこを強引に進んで浅い箇所まで辿り着くと、長い指を鈎の字に曲げ、内側に潜む堅い蕾を指の腹で引っ掻いた。 「…っ!はぁうっ!やはっ…やぁっ!」 思わずと言った態で大和の身体が伸び上がる。 「おや、お嫌いでしたか?」 無意識に逃れようとするのを抑え付け、更に指で押し上げると、鈴口から無色な液体が流れ始めた。 「んっ、いっ!…あっ…佐賀島ぁっ!」 痼りをリズミカルに穿たれると、もう堪らない。 「お好きですよね?」と揶揄されても、素直に首が上下に振れる。 佐賀島に教えられ、佐賀島でしか探し得ない、大和の回路スイッチ。 そこに触れられると、ここが屋外で、どこかに人気があるかも知れないという頭はいともあっけなく吹っ飛んでしまう。 脳内は全て、射精行為に埋め尽くされる。 ―――― イきたい、イきたいっ、も、ぉ、イきたいっ! 大和は直立して湯船に足だけを浸したままの状態で身体を硬直させ、前をいきり立たせた。 次に来る快感を知っているそこは期待に溢れ、天を突く。 「あ・あ・あ…なんっ、でっ」 だが、予想に反して佐賀島の指はピタリと動きを止めてしまった。夢精に近い状態で放置されてしまった大和の尖端からは、ダラダラと先走りが伝い流れ落ちる。 「佐賀、島っ」 先ほどまでは排除しようとしていた内壁が、促すように佐賀島の指を奥へ奥へと伸縮を繰り返す。 「俺の指がそんなに欲しいですか?」 「っ!何、を…っ」

ともだちにシェアしよう!