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番外編

真っ白な部屋で目を覚ます。 ベッドはふかふかで心地良いが、自室の物ではない。 「ここ、は…?」 というか、自分は死んだはずだ。 サイドボードには何やら手紙が置かれている。 ~この部屋について~ ①貴方の大好きな人を1人だけ呼び出すことが出来ます ②セックスをしないとこの部屋からは出られません ③召喚された人はこの部屋のルールを一切知りません 最後にこの手紙は処分するようにと書かれていた。 「どういう…」 意味が分からない。 でも、もう一度だけ会えるなら春樹に会いたい。 「はるくん…会いたいよ……」 声に出したら涙が溢れた。 ベッドに座り込み涙を拭っていると、不意に部屋の扉が開いた。 「えっ」 そこには、会いたいと願った春樹が立っていた。 「海っ!!」 びっくりして動けずにいると、春樹が駆け寄ってきて抱きしめられた。 「はるくんっはるくんだ…」 海は必死に春樹の体を強く抱きしめ返す。 「なんでっ!!お前生きてるのか…?」 春樹が確かめるように頬や肩、背中にぺたぺたと触れてくる。 「会いたかった…」 春樹にずっと会いたかった。 死にたくなんかなかった。 「俺だってずっと会いたかったよ」 春樹の言葉に、一層涙が止まらなくなってしまった。 「はるくんはどうしてここに来たの?」 会いたいと口にしただけで春樹が目の前に現れた。 正直何が起きたのかまるで分からない。 春樹は気が付いたら扉の前に居て、中に入るようにどこからともなく指示されたらしい。 それから、お互い泣きながら語り合った。 海の時間は止まったままだったけれど、海が居なくなった後の春樹の話をたくさん聞かせてもらった。 セックスしなければ出られない部屋、つまりしなければずっと一緒に居られるのだ。 海は、春樹には部屋のことは何も話さない事に決めた。

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