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──なんで、どうしてこうなった。
「ねぇ、興奮した…?してない…?帰ってから抜いた?……俺で想像した?」
ガタンッ!!!
後ろでぶつかった机が耳障りな音を立てる。
今のこの状況に脳の理解が追い付かない。
「いやッ、まっ、なに?!なんなのお前ッ///////」
「俺君のこと気に入っちゃった。ね…、君は?俺と…シたくない?」
「ちょっ、ほんと待ってッ!!!////////」
あぁ。本当に、どうしてこうなったんだ…
チッ、チッ、チッ、チッ…
放課後の教室。
時計の針が進む音とペンが紙を引っ掻く音だけが響いている。
他の生徒は既におらず、室内には俺と委員長の二人だけが残っていた。
「…………」
「……………」
き、気まずい……
数分前、俺は担任に提出するためのノートを回収し終えて職員室へと向かおうとしていた。
すると、委員長が、
「あ、待って、1人じゃ重いだろ。俺も手伝うよ。日誌書いちゃうからちょっと待ってて。」
「あー…うん。」
と何となく、内心お断りしたかったが、委員長が日誌を書き終えるのを手持ち無沙汰でソワソワしながら待っていた。
「…………」
「………、ねぇ蒼井君。」
すると不意に手元に目を向けたまま委員長が声を掛けてきた。
「……何?」
「訊かないの?この前のこと。」
「………」
「気使ってくれてる?それとも関わりたくないとか?」
「誰にもばらしてないんだね。」そう言いながら書き終えたのか、委員長が日誌を閉じた。
「…日誌、終わったんなら行こうぜ。」
「ね、待ってよ。俺別に覗き見してたこと責めてるんじゃないよ?」
「ッ…!!!」
立ち上がりノートを持とうとして、思わず肩が揺れてしまった。
「だからそんなに逃げないでよ。」
早くこの場から逃げ出したくて背を向けていた方を振り返った。
にこりと笑った委員長の整った顔がこちらを向く。
何を考えているのか分からない。
はぁ…俺はため息をひとつ吐いて近くの机に腰かけた。
「…口止め?なら別に、俺誰にも言うつもり無いから。」
「ん?いや、そこは心配してないよ。」
言いながら委員長が長い足を組み、シャーペンをいじって遊ぶ。
…なら一体何がしたいんだ。
「………。いつから気付いてたんだ、俺が見てたこと。」
「最初から?」
「え。」
「ここ。」
委員長が自分のブレザーの左胸辺りを指でつつく。
「校章、西日に反射して光ってたよ。」
「うわぁ…」
俺一人でハラハラして隠れてたつもりとか、めっちゃ馬鹿みたいじゃん…。
「え、待って…、じゃあお前分かってて、あんなこと…したの?」
「んー……ふふっ」
委員長は笑うだけ。
俺はそれ以上何を言えばいいのか分からなくて、少しの沈黙が流れる。
「……あぁそうだ、先にノートと日誌、出してきちゃおうか。」
唐突に委員長が言った。
「先にって…」
「あれ、帰っちゃうの?俺に訊きたいことあるんでしょ…?」
「…………」
「ついでに場所変えようよ、ここだと誰かに聞かれちゃうかも知れないし。」
ね?首を傾げて微笑む委員長は何故か少し楽しそうに見える。
「………はぁ。分かった。」
俺は一瞬逃げてしまおうかと考えたが、どうせ後で捕まりそうだなと観念して荷物を肩に掛けノートを手に持った。
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