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「?…どういう意味だ?」 「だ、だから、例え俺の1番が君だとしても、君の1番には男の俺はなれないでしょ?」 「…」 「どう頑張ったって俺は女の子には勝てないから、だから何番目でも…セフレでも良いから、好きな人と繋がってたいんだよ…」 手を握る力と共に、声も段々と尻すぼみになっていき、必死に俺に向けられていた顔は俯いてしまった。 そうか、なんだ…寂しいのか。 「………、お前…、」 「…なに?」 「男見る目ないだろ。」 「………へ?」 俺は初めてみる委員長の間抜け面にデコピンを一発食らわせた。 「いったッ!!」と額を押さえて、涙目になりながら委員長が俺から離れて踞る。 「な、なにす……!!」 「俺は、男だとか女だとかで優劣をつけるつもりはないよ。ましてや自分に向けられた好意を利用してやろうだなんて、これっぽっちも思えない。」 「………」 「だから委員長とはやらないし、そんな最低な奴を好きになってきた委員長は見る目がない。 ……自分のこと、もっと大事にしなよ。」 額に手を添えたまま呆然と委員長が俺を見上げて、暫くすると足元を見つめて話し出した。 「何それ…じゃあ俺はどうすれば良いの?今までエッチするときしか俺は好きな人に名前も呼んで貰えなかったのに。顔が良いからって、周りにバラさずにエッチだけはして貰えてたのに。今更身体以外に好きになって貰う方法なんて、俺は分かんないよ…」 膝を抱えて顔を伏せる委員長。 寂しいやつ…きっと今まで碌な相手と付き合ってこなかったんだろう。 何だか心臓がぎゅっとなった。 「…委員長は何で俺が好きなの?」 「……君は優しいから。」 「優しい人なんて俺以外にも沢山いるだろ?」 「……俺を、俺としてみてくれる。」 「……そんなに俺が好き?」 「好きだよ。でももういい…どうせ好きにはなって貰えない。」 「何で?」 俺はゆっくりと委員長の側に歩き出した。 「だって蒼井君は女の子が好きでしょ…」 「まぁそれなりに。」 「なら無理だよ、やっぱり1番にはなれない。」 「頑張らないの?」 そう言って委員長の隣に座る。 「頑張ったって…俺には……」 「残念だな、俺は今結構可愛いなと思い始めてるのに、委員長のこと。」 「は?」 バッと勢いよく顔をあげて目を見開く委員長が、驚いた様に俺を見た。 「なに、いっ…て……同情とかじゃ…、」 「かもな。」 「ならッ、」 「だから頑張ってみれば?俺が本当に好きになるまで。」 「………」 「チャンスだぞ?」 俺が笑ってそう言えば、委員長の顔はみるみる赤く染まっていった。 こういう反応は素直に可愛いと思う。 遠くで授業開始5分前のチャイムがなったので、俺は委員長に行こうぜと声を掛けて立ち上がった。 「……、まっ、待って、待って!」 「なんだよ。」 「もし俺が頑張ったら…俺を好きにさせたら、俺を1番にしてくれる?君の1番になれる…ッ?」 「さぁな。」 「…ッ、「でも、」…」 「俺は恋人になった奴は、とことん甘やかしたいかな。」 だから頑張れよ。 「っ、が、頑張るッ!!」 「ふっ…おう。頑張れ、………碧。」 「!!なまえ…っ////////」 もう一回!!! 叫ぶ委員長に何の事だ?と返しながら、俺達は二人で騒がしく教室へ向かった。 あぁやっぱり、面倒なことになってしまった。 俺の隣で頬を染めて歩く委員長を見て思う。 平穏な日々よさようなら。 そしてこんにちは、騒々しいこれからの日常。 …まぁでも少し、楽しみな自分もいるのだから、彼に落ちるのも時間の問題なのかもしれない。 あぁそれと、俺が以前から彼の事が気になっていたというのは、もう暫く内緒にしておこう。

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