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06
――学園内、保健室。
ここに来るのは初めてではない。
相変わらず清潔感溢れるその室内は静かで一瞬誰もいないのだろうかと思ったが、そこには先客が一人いた。
「……あ」
室内の中央に置かれたソファー。
そこに腰を下ろし、向かい側に置かれたテーブルの上でなにやら作業をしていたその男子生徒は開く扉を見るなりばつが悪そうな顔をした。
仁科奎吾だ。仁科がいるということはもしや阿賀松とその愉快な仲間たちがいるのではないかと慌てて周りを見渡してみるが、見たところ保健室には仁科一人だけしかいない。
「……芳川」
「なんだ、お前一人か。仁科」
この二人に面識あったのか、と驚いたが、よく考えなくても仁科は保健委員長だと聞いた。なら、生徒会でも顔合わせるはずだ。それでも、阿賀松側である仁科と生徒会トップの芳川会長という立場でありながらも二人のやりとりはあまりにも自然で違和感を覚える。
まるで、友達かなにかのような……。
「どうした、齋藤が怪我したのか?」
「け、怪我というほどではないんですけど……」
「ああ、コブになっている。……背中も強打したようだから念の為見に来たんだが……」
「……生憎今俺しかいないけど、取り敢えず冷やすもの持ってくるから好きに寛いでてくれ」
そう、慌ててテーブルの上を片付けて立ち上がる仁科。芳川会長は「ああ」とだけ頷き返し、それから俺をソファーへと座らせる。
製氷機から取り出した氷を氷のうの中に入れる仁科を一瞥し、俺は隣に腰をかける芳川会長へとちらりと視線を向ける。
ふと芳川会長と目が合い、会長に「どうした?」と声をかけられる。
「いえ、あの……お知り合いなんですか?」
「ん? ……ああ、仁科か。あいつとは昔クラスが同じだったんだ」
「……そうなんですか」
そう何でもないように答える芳川会長。
同級生なのだから同じクラスになる可能性くらいあるとわかっていたが、なんだろうか。会長が同級生たちとフレンドリーに会話を交わしている場面が思い浮かばない。
……生徒会長としてではなくプライベートの芳川会長を知らないからだろう、違和感が拭えなかった。
でも、よく考えてみれば芳川会長だって最初から会長という役職についていたわけではないはずだ。……普通の生徒みたいに普通に授業を受けて普通に友達つくって普通に遊んだりして学園生活を謳歌していた時期もあったのかもしれない。
……あれ、もしかして俺ものすごく失礼なこと考えてるかも……。
「ほら、これで冷やすといい」
そんなこと考えていると、氷のうを手にした仁科が戻ってきた。それを受け取り、俺は患部にそっと乗せた。……冷たくて一瞬身動いでしまう。
「頭打ったのか?」
「えっと、ちょっと壁にぶっけちゃって……」
「気分は?」
「あ、あの大丈夫です」
「やっぱり病院連れていった方がいいのか」
「あーまあ、頭だし一応ちゃんとしたところで診てもらった方がいいかもな」
「齋藤君、病院行くか」
「えっ、あの、ほんと大丈夫なんで」
「無理してないか?」
「はい。あ……あの、仁科先輩これありがとうございます」
このままでは本当に病院に連行されかねない。
流石にそこまで大事にするほどのものではないと分かってたので、俺は半ば強引に話題を変える。
仁科は「ん、ああ」となんとなく端切れの悪い返事をする。そんな俺たちのやり取りを見て、芳川会長は不思議そうな顔をした。
「なんだ、お前ら知り合いか?」
……芳川会長は勘が鋭い。
いつの日か、阿賀松の命令のせいで仁科に色々されたときのことが頭を過り、今更恥ずかしくなってくる。俯く俺の代わりに、同じく気まずくなったらしい仁科は「まあな」とだけ応えた。
丁度そのときだった、静まり返る保健室内に無機質な着信音が響き渡る。
なんというタイミングだろうか。
咄嗟に携帯端末を取り出せば、画面には見慣れた名前が表示されていた。
『志摩亮太』
……すっかり忘れていた。
「誰からだ」
「……ええと、クラスの人からです」
「出ないのか?」
「……出ます」
鳴り続ける携帯端末を手に、俺は一旦場所を変えようと立ち上がるが会長に止められた。
「わざわざ移動しなくてもここで話せばいいだろう」
自分たちに気遣う必要はない、ということなのだろうか。
会長の気遣いはありがたかったが、相手が相手だけに戸惑う。えと、と躊躇していると「早く出てやれ」と再度促される。
ええいと、半ばやけくそに俺は通話に応じた。
「……もしもし」
『今どこにいるの?』
開口一番これだ。無理もない。志摩に助けを求めたのは俺なのだから。
「えーとその、保健室。……ごめん、多分入れ違いになってる」
『保健室? どこか怪我したの?』
「や、大丈夫。……念のためって連れてこられただけだから」
『連れてこられた?』
志摩の声が大きくなり、咄嗟に俺は端末を耳から離した。会長たちにこの会話が聞こえてないか気になったが、二人とも素知らぬ顔して飲み物を飲んでる。俺は「うん」と志摩に答えた。
『他に誰か一緒にいるの?』
「え? あー、えーっと……」
この場合は素直に答えた方が良いのだろうか。
向かい側に腰を下ろし、大人しくしている芳川会長に目を向ける。目が合った。
気恥ずかしくなって俺は慌てて視線を逸らす。
「……会長、だけど」
そう声を潜め、俺は小さく呟いた。
すると、端末の向こう側の志摩が押し黙る。
『…………今保健室だっけ』
やや間が空いて、再度志摩は確認してくる。
「うん……そうだけど」
『俺も行くから、ちゃんと待っててよ』
「え? いいよ別に……」
大丈夫だから、と続けるよりも先に志摩は通話を終了させる。
「って……もしもし? もしもし?」
うんともすんとも言わず、端末には見慣れた初期設定の壁紙に戻っていた。
「今からここへ来るのか」
「そう、みたいです」
やはり会長たちにも会話が聞こえていたようだ。
恥ずかしくなってくるが、それよりも芳川会長と志摩ががち会ったときのことを考えると胃が痛くなってきた。
普段から芳川会長のことをよく思っていない志摩なだけに余計。
けれど、会長はそんなことは気にしていないらしい。それどころか。
「ならせっかくだ、残りの時間ゆっくり楽しんできたらいい」
「え、いいんですか?」
「とはいっても残り時間もない。……それに、怪我のこともある。あまり無理のない範囲でな」
「それに、俺も閉会式の準備に顔を出さなければならない」と立ち上がる。
よかった、これならば志摩と会長ががち会うことなく穏便に済むかも知れない。
「……閉会式、もうそんな時間か」
「お前は出ないのか」
「顔は出すつもりだったけど……先生に戻ってくるまでここにいてくれって頼まれててな」
「た、大変ですね……」
「いや、寧ろなにもしなくていいから楽だぞ。お前たちが来るまでは暇だったからな」
「あ、ご、ごめんなさい……」
「いや、違う。お前を責めてるわけじゃなくてだな……」
「おい仁科、人の後輩を虐めるなよ」
芳川会長は仁科を誂ってるようだ。うぐ、となってる仁科に「冗談だ」と笑う。
「お、お前な……」と戦慄く仁科。あまりの仁科の人のよさになんだか可哀想になってくると同時に、本当に二人が親しかったのだと思うとなんだか複雑になってくる。
この場に阿賀松たちがいたらこうはいかなかったんだろうな、なんて思いながら談笑する二人を眺めてると、ふと「そうだ、齋籐君」と芳川会長に呼ばれる。
「連絡先教えてもらってもいいか」
「連絡先ですか?」
「ああ、ないと不便だからな。また今日みたいに入れ違いになっても困るだろう」
「す……すみません」
「別に謝らなくてもいい。……それに、詳しい話も十勝から聞いた。あいつのことを気遣ってくれたんだろ?」
「あいつは血の気が多いからな、正しい判断だ」と、携帯端末を取り出す会長。飾り気もないクリアカバーに覆われた端末は既に画面が割れていた。落としたのだろうか。
「……何かあったのか?」
「いつものことだ、お前が気にすることじゃない」
仁科に尋ねられそう答える会長。その言葉から察したらしい、「ああ……」と呟く仁科の顔には疲労が滲んでいる。
「とにかく、今後今回のようなことがあったらすぐに連絡しろ。……あまり無茶な真似はしないでくれ」
「何か遭ってからじゃ遅いからな」と念押す会長。どうやら俺が一人で阿賀松たちを連れて行ったことを言ってるのだろう。その表情から本気で心配してくれているのだとわかった。
「……気をつけます、ごめんなさい」
それから湿っぽい空気になるのもつかの間、俺は芳川会長と連絡先を交換した。
最初お互い携帯に慣れておらず大変手間取ったが、見兼ねた仁科が代わりに俺たちの連絡先を登録してくれた。
「そろそろ俺は行くが、君はまだここにいるのか」
「はい、もうそろそろ来ると思うので……」
「ああ、そうだったな。仁科がいるから大丈夫だと思うが、もしなにかあったときは迷わず連絡してくれ」
「はい、ありがとうございました」
そう会長に頭を下げる。名指しされた仁科はやや居心地悪そうだったが、なにも言わない。
そして会長がそのまま保健室を後にしようと扉に近づいた瞬間だった、勢いよく保健室の扉が開く。
そこには見慣れた男子生徒がいた。走ってきたのか、僅かに息を乱した志摩の手には買い物袋がぶら下がっている。どうやらここへ来る途中どこかへ寄ってきたようだ。
そんな志摩を一瞥し、芳川会長は「どうやらお友達が来たようだな」と小さく口にした。
「それじゃあ、また後で連絡する」
そして、それだけを俺に告げればそのまま芳川会長は無言で睨んでくる志摩を無視してそのまま保健室を後にした。
「志摩……さっきはごめん。連絡忘れて」
なんとなく不穏なものを感じ、俺は自分から志摩に駆け寄る。ようやく会長から視線を外した志摩は「別にいいよ」こちらを見た。
「……そりゃ恋人と一緒にいたら連絡も忘れるよね、仕方ないよ」
そう志摩は先程同様乱暴な手付きで扉を閉めた。
その物音に作業へと戻っていた仁科がびくりと反応していた。
「それより、なにがあったか説明してくれる?」
「説明、っていうか」
「なに? 散々人に心配かけて校内走らせた上に放置した挙げ句自分は恋人とイチャイチャするくせに俺にはなにも言えないってこと? それとも、会長に口止めでもされてるの?」
「まさか、頭にこんなもの乗せてなにもなかったなんて言わないよね」そう微笑む志摩に頭に乗せていた氷のうを取り上げられ、直接冷やしていた頭皮に触れられる。
「ねえ、齋藤」と耳元で名前を呼ばれ、そして冷やしていた患部に触れられ痛みが走る。
「……ッわ、わかったから、ちゃんと言うから触らないで……」
「最初からそうしたらいいんだよ」
「……」
志摩から氷のうを返してもらい、再びそれを頭に乗せた俺は志摩に一連の出来事を説明する。
櫻田のことは一ヶ月前教室まで押し掛けてきたやつと言えばすぐに伝わった。
そして一頻り身に起きたことだけを説明し終わり、終始黙って聞いていた志摩に目を向ければ驚いたようにこちらを見てくる志摩と目が合う。
「俺に飲み物買ってくれようとしてくれたんだ」
そう意外そうな顔をする志摩がまず一番に食い付いたのは櫻田と接触するきっかけになったその俺の行動だった。
「……結局買えなかったんだけどね、ごめん」
「いいよ、別に。……こっちも走ってる間にぐちゃぐちゃになっちゃったしね」
そう、手にしていたビニール袋に入った焼きそばをテーブルの上に置く志摩。……先程から保健室が香ばしいソースの匂いで充満していると思ったらこの焼きそばの仕業だったようだ。
「もう冷めちゃったけど、ここで食べようか」
「ここで? え、でも……」
怒られるんじゃないか、とちらりと仁科の方を向けばどうやら俺たちのやり取りを聞いていたらしい。仁科は「ゴミは各自で持って帰れよ」とだけ言って再び作業に戻る。そんな仁科に志摩は「はーい」と答えていた。
そして俺達の遅い夕食が始まる。
「なんだか落ち着かない学園祭になっちゃったね」
「……そうだね」
「そもそも、生徒会がちゃんとその櫻田とかいうやつを捕まえてたらこうはならなかったんだろうけどね」
「……会長たちも色々忙しかったんだよ、それに……」
それに、俺がもっと強ければ。逃げることしかできず袋小路になってしまったことを思い出しては苦い気持ちになる。
「それに?」と焼きそばを一口食べた志摩がこちらを向く。
「……俺が、もっと上手くできてたらよかったんだけど」
「上手くって何?」
「その……穏便に済ませたり……」
「無理だよ、齋藤には」
即答だった。ずぞ、と焼きそばを食べる志摩の言葉はぐさりと心臓を貫いた。
「そ、そんなはっきり……」
「そもそもその一年って会長の親衛隊なんでしょ? だったら、会長さんが管理するのがフツーでしょ。……自分の恋人をこんな危険な目に遭わせておいて自分は仕事に戻るってどんな神経してるわけ?」
「……っ、し、志摩……」
志摩の口調から会長に対する怒りや不満はありありと伝わってきた。……志摩の言いたいことはわかる。
が、表向き恋人とはなってるが会長は俺に協力してくれてるだけなのだ。こうして協力してくれてるだけでも俺にとっては頭が上がらない。
それを志摩に言うことができれば考えを変えてくれるのかもしれないが、それができない現状、上手い言葉も出てこず押し黙ることしかできない自分が歯がゆかった。
「齋藤は悪くないよ。生徒会の管理不行き届きでしょ」
「……志摩、ごめんね」
「だから謝るのもなしだって。……それより、早くその冷めたやつ食べなよ」
「う、うん……」
そう志摩に促されるがまま、もそもそとした焼きそばを食べる。一足先にぺろりと完食した志摩はそんな俺を頬杖ついて眺めていた。
非常に食べ辛い。
「……齋藤はそのままでいいよ」
「、え?」
「そのままでいいの。……なにもできない齋藤でも俺は構わないよ」
そう口にする志摩に何も答えることができなかった。まるで呪詛かなにかのように鼓膜に志摩の言葉がこびりついていた。
そして暫く時間を掛け、なんとか焼きそばを食べ終わる。後片付けをしてると、ソファーの背もたれに埋もれた志摩は「はあ」と露骨に大きな溜息を吐き出す。
「……はあ、やっぱムカつくなあ、会長。俺頑張って探してたのに横から割り込むなんて不公平でしょ。普通に考えて」
「……でも、ほら割り込むとかそういうのじゃなくて、本当に会長はたまたまで……」
「なに? 俺より会長に助けてもらえて嬉しかった?」
「ちが……違うよ、違うけど、あんまりそういう言い方……」
志摩の口が悪いのは今に知ったことではないが、芳川会長と仲がいい仁科がいる目の前でそんなことを言ってみろ。うっかり芳川会長の耳に入ったときのことを考えると生きた心地がまるでしない。
「へえ、齋籐でも彼氏の悪口言われるのは嫌なんだ」
しかし、そんな人の気遣いを志摩はまたよくわからない方向に受け取ったようだ。
「そ、それは……っ」
「違うの?」
「や、その……ちっ違くない……けど……」
どもる俺の態度が気になったのか、そう鎌をかけるように尋ねてくる志摩。
一瞬つられて否定しそうになりながらも、そう慌てて肯定すれば志摩の顔が不愉快そうに歪む。
「あーやだその反応、ムカつくなあ。いつもぐだぐだ言うくせになんでハッキリ言うのかな、結構齋籐って無神経だよね」
「……」
「無視なの?」
「そう、じゃなくて……その、ごめん」
「そうじゃないでしょ。……齋藤の謝罪はもう聞き飽きたよ」
こうなったときの志摩はしつこいことを俺は身を以て知っている。
一言も発さない仁科の方が気まずそうにしているくらいだ。
この最悪な空気の中、どうしたものかと氷嚢の位置を直したりして紛らわしていたときだ。
ポケットに仕舞っていた携帯端末がぶるぶると震えだす。咄嗟に取り出せば会長からメッセージが一件。
『準備が出来た。生徒会室へ来い。』
そうただ一言記されたメッセージに、俺は阿賀松との約束を思い出す。
……どうやらとうとうきてしまったようだ。
「俺と話してるときに携帯見ないで」
「あ……ごめん」
「誰から?」
「えと、会長……」
「なんだって? 変な男には近付くなって?」
根掘り葉掘り聞いてくる志摩。こうなったときの志摩にはなにを言っても真っ直ぐには伝わらないのだろう。
「えっと……今から一緒にいれるって」
「ふうん、生徒会の仕事終わったんだ」
「だと思う……うん」
本文を見る限り生徒会の仕事かどうかはわからなかったが、準備が整ったことには変わりないだろう。
「で?」
「え?」
「齋籐はどうするの?」
「ええと……呼ばれたから行かなきゃいけないけど……」
流石に『会長との用事あるんでじゃあね!』と言い出しにくいから相手から本題に触れてきてくれるのはありがたかったが、なんでこうも高圧的な言い方をするのだろうか。
「けど? なに?」
そう薄く笑いながらしつこく食い付いては離さない志摩。表情そのものはにこやかだが、纏う空気は一発触発のそれだ。
……ここは一応志摩を立てておいた方がいいだろう。
「……志摩が」
「俺が?」
「一人になるから」
「……別に、そんなこと気にしなくていいよ」
そう肩を揺すって笑う志摩。
珍しく物分かりがいい志摩に少し驚くと同時に肩透かしを喰らう。が、それも束の間。
「それともなに? 俺が齋籐に行くなって言ったら断ってくれるの?」
「……それは」
できないだろう。
なるべくオブラートに包もうとするが、最良の言葉が見つからずにそのまま口籠ってしまう。
そんな俺に、志摩は「だろうね、そう言うと思ったよ」と笑った。
「もう面倒だから齋籐ごと部屋に閉じ込めれたらいいんだろうけどね」
「…………」
「なにその顔、冗談だよ」
……冗談には聞こえなかった。だとしてもだ、笑えない。
「でも会長のところに行っちゃだめ。前からも言ってるよね」
言葉尻は柔らかいが、圧がある。
でも、と言返せば志摩は「なに?」とこちらを睨んだ。
志摩とはなるべく穏便に付き合いたいと思っていた。が、今回ばかりは志摩の言うことを聞くわけにはいかない。
阿賀松との期限つきの約束、芳川会長との作戦、自分の平穏。それらと志摩のご機嫌取りとどっちが大切かなんて、まず比べ物にすらならない。
「ごめん、遅れるからもう行く」
「齋籐」
「今日の分の埋め合わせはまた今度用意するから。……焼きそば、美味しかったよ。ありがとう」
意を決して、俺はソファーから立ち上がる。
そして志摩が次の行動を起こす前に俺は足早に保健室を後にした。
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