ひくひくと快感に震える身体をそっと寝台に横たわらせ、梨央は垂れてきた長い前髪をかきあげた。 「宮は、初めては女の子のほうと、こっち、どっちがいい？」 　たらたらと血を流し続けるそこに指をいれてぐちゅぐちゅと出し入れをする。 「ああああぁぁ～～～～……っ」 　びくんっ、と身体をしならせて、輝雅は過ぎる快感に喘いだ。 「んん～……。まあ、でも、さすがにゴムつけるとはいえ、生理中に挿れるのは可哀想だし……こっちにしようね」 　こっちの準備もちゃんとしたし。 　男前の笑顔は意外と可愛い。なんてことを死刑宣告に近しいことをされた輝雅は呑気に考え――梨央が言った言葉を理解して絶望した。 「まって、待って待て待てまっ――、あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛――――っ」 　血をまとったままの指がほんの少しだけ緩んでいるそこに挿れられる。ぐり、と。ぎちり、と。自然に濡れることのない女性器とは違うそこは、入ってきた異物にぎゅうぎゅうと押し出そうとしめつける。 「っ、ぅ……っ」 「まだ気持ちよくなるには時間かかりそうだな……。まあ、そうだよなあ……」 　指を動かすために、動かす余裕をつくるために、梨央は輝雅の性器をしごく。 「ほらほら、宮、リラックスリラックス。身体の力抜いて……ほぅら、気持ちいだろう？」 　クツクツと笑う声は、安心させる要素など皆無。むしろ、ぞわぞわと恐怖が這い上がってくるもの。しかし、しごかれる性器が気持ちよくて、次第に輝雅の身体は弛緩していく。 　ぎちぎちと指をしめつけていた肉壁も、そのしめつけを緩めている。 「ん、ん。そう、いい子だな……。気持ちいだろう？　宮」 「あ、ぅ～～～～……」 　言葉を紡ぐことができなくなった口からはダラダラと飲み込むことを忘れたよだれとともにか細い声が漏れ出ている。 「できれば、アナルでよがってほしいけど……仕方がない」 　しごいていた手をとめ、腹をするすると撫でる。ひくりひくりと震える腹はうすく、突っ込んだあとに腹を押さえたら気持ちいだろうなあ、とよからぬことに思いを馳せる。 「絶対に気持ちいいな」 「……？　ぁに、がぁ……？」 　一瞬だけ戻ってきた輝雅の意識は、梨央の物騒な呟くを拾ってしまった。 　口元がべたべたで、ずいぶんと汚いはずなのに元の顔がいいとそんなことも気にならない。梨央はその口元のよだれをぬぐい、ふわっと場の雰囲気にそぐわぬ笑みを浮かべた。 「これ、気持ちいい？」 「……う、ん……」 　こくりと頷いた輝雅に気をよくした梨央はにこーっと笑みを深くして「そうだろう、そうだろう」とぐりぐりと指を動かした。 「ぅぎ……っ」 「これは気持ちいこと、宮にとってすごく気持ちのいいこと、ほら、気持ちいって言って、思ってごらん」 　気持ちいい、気持ちいい、囁かれる梨央の言葉で輝雅の頭はいっぱいになる。 「ぃも、ちい……？」 「そう……、気持ちいいだろう？」 　何度も。 「宮。これは気持ちいいことだよ」 　なんども。 「ここ、ちょっと強めに擦ると気持ちいいだろう？」 　繰り返される。 「――っあ」 　ようやく、輝雅がそこの刺激だけで甘い声を出したとき、梨央は悪辣に口を歪めた。 「なあ？　――気持ちいいだろう？」 　輝雅の意識はそこで途切れた。