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③
「俺と付き合おうか、宮」
もっもっと咀嚼していた輝雅を次に口に含もうとしていたきゅうりの塩もみを箸から落とした。(ちなみにきゅうりの塩もみは梨央に言われて輝雅が教えてもらいながらこさえたものである。)
「――え?」
「まあ、セックスしてるし、こうやってお互いの部屋行き来しててほぼ半同棲みたいなもんだし、今更だよね。そもそも俺は付き合ってると思ってたし。俺は宮のこと好きだし」
ニッコニコと笑っている梨央だが、言葉はどこか棘を感じる。輝雅がお互いの関係には名前がないものだと思っていたのが気に食わなかったのだろうか。
「宮は? 俺のことどう思ってんの? ――俺と、どうなりたいと思ってんの?」
先日輝雅がした質問を梨央に返される。
輝雅は梨央とどうなりたいか。それは梨央に「恋人のつもりだった」と言われてから輝雅自身が考えていたことだ。
考えた。考えて、考えて……。
「取り敢えず、おれの処女を奪った責任は取ってもらおうと思ってる。栢木の扶養に入るつもりはないけど、末代まで責任取り続けて」
「――――」
ぽかん、と口を開いた間抜けな表情で輝雅を見つめる梨央に、輝雅は悪戯っ子のように笑う。
「尻にしいてやるから、覚悟して」
* * * *
「まあ、組みしかれるのは宮だけどね」
「――――っ、お前ほんと、意地が悪いっ。ついでに、趣味も、悪い!」
両肘をつき、腰を高くあげた姿勢で輝雅は後ろから梨央に突っ込まれていた。女性器に梨央の男性器、尻の穴にはどこから出したのか全くわからないアナルビーズを挿れられている。そのうえ梨央は緩く腰をふり、輝雅の薄い腹に手を這わせてぐっと押している。
きゅう、と自分で梨央の男性器とアナルビーズを締め付けてしまい、それで輝雅が勝手に喘いでいる。
「んー、いい締め付け。宮も気持ちいいね? きゅうきゅうって、どっちもおいしそうにしてる」
「~~~~っ」
事実気持ちがいいから腹が立つ。
梨央は空いている手を輝雅の背中に這わせ、ぐりぐりと輝雅の脂肪のない綺麗な腰にあるアポロのえくぼに指を押し付ける。
「ん、ん、なに……何してんの……っ」
「宮のここはアポロっていうより、ヴィーナスって感じだね。細くて、白くて、男神より女神のほうがしっくりくる」
「……っ、ぁ……も、なんの、はなし……」
「宮が綺麗って、こ、と」
ずるずると、梨央は喋りながら抜き、どちゅんっと勢いよく突いた。
「――――っ」
両手で輝雅の腰を掴み、輝雅の尻たぶが赤くなるほどに腰を打ちつける。
「ああああああああああああああ~~っ」
額をシーツにすりつけ、涎を垂らす。まだ一度も触れられていない男性器からトロトロと精液が流れ出ており、いつの間にか達していたらしい。
激しく身体を揺すられ膝が滑り、とうとうベッドに伏してしまったが梨央は容赦がなく、むしろ一等腰を振る。そのせいで自分の身体とマットレスに挟まれた男性器からも快感をひろってしまっていて輝雅の喘ぎは大きくなる。
「もっ、~~~~っ、あ゛あ゛あ゛あ゛っ」
ぐ、と首を後ろを押さえつけられ、肩を噛まれる。
「――ははっ」
楽しそうに笑った梨央の声を辛うじて拾い、そこで輝雅の意識は落ちた。
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