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第11話

それからしばらくの間、桃太郎は鬼ヶ島へ滞在したが、養父母のもとへ戻ることとした。少し前に、桃太郎を探して飛び回っていた雉と再会し、養父母へ文を書いて預けていた。 「また、昔のお二人にお会いしたい」  財を巡り、荒み切っていた養父母の関係であったが、雉が届けた文により、安定を取り戻したのだ。養父母より顔が見たいとの返事が桃太郎に届いたため、一度戻ることにしたのだ。当初は桃太郎も躊躇いがあったのだが、鬼の棟梁の後押しがあったことも大きかった。   養父母の前に、桃太郎は家来である雉、猿、犬の三匹と再会した。雉とは文のやり取りもあり、顔を合わせることもあったが、猿、犬とは久しぶりに顔を合わせた。 「桃太郎、お会いしたかったです」 「傷心旅行は楽しかったか」  犬は尻尾を振り、その体を桃太郎に寄せる。猿は、口を開けば相変わらずの皮肉屋であったが、ちらちらと桃太郎の様子を伺っては、安堵した表情を見せていた。 「犬、猿、お前たちには心配をかけた。本当にすまないと思っている。雉も、使い走りをさせて悪かったな」 「必ず戻ってきてくれるとわかっていましたからね。これくらいお安い御用ですよ」  雉は穏やかに笑っていた。  そんな中、犬は桃太郎の匂いを嗅いでは、首をかしげている。 「どうした、何かおかしなところがあるか?」 「う~ん、桃太郎から、いつもの桃の香りのほかに匂いがするんです。一度嗅いだだけなので、確信は持てないんですが……」 「何だよ、お前鼻だけが取り柄の癖に、耄碌したのかよ」 「猿!そんな言い方あんまりです!だって、桃太郎から鬼の棟梁と同じ匂いがするんですもん!おかしいじゃないですか!しかも、この匂いのつけ方って、なんていうか、桃太郎は自分のものだ!って宣言してるみたいで……」

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