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「っ、く、ろは、さ……んん……ッ!」 爪が、食い込む。首を掴むように引っ張られ、キスをされた。キスというよりも、まるで、噛みちぎられるかのような激しいそれに、息が、できない。 太く長い舌が唇を割り開き、ずっと音を立てて咥内へと入ってくる。 「っン゛、ぅ、ふ、ぅぐ……ゥ!」 舌すらも絡め取られ、喉奥、口蓋垂を舌先で嬲られれば、喉奥から唾液が溢れる。絡み合う舌先に意識を持っていかれそうになったとき、もう片方の手に、乱暴に和服を脱がされる。大きく開いた胸元、その下、既に自身の精液で濡れた下腹部に伸びてきた大きな手に、全身が打ち震えた。 「ん゛、ぅ、ふッ」 人のものとは違う、硬質な皮膚が素肌に触れるだけで、その箇所が爛れるように熱くなった。呼吸が浅くなる。下腹部に、全身の血液が集まるようだった。 唾液を飲まされ、舌を引き抜かれる。飲み込めずに溢れ出すそれに噎せ、口から溢れた。滲む視界の中、腿を掴んだ黒羽に、大きく足を開かされた。腰を持ち上げられる。勃起した自分の下半身が視界に入る。恥ずかしいとか言ってる場合ではない。下腹部、その最奥、ヒクつくそこに伸びる黒羽の手に、全身が強ばる。心臓が速鐘を打つ。 「待っ、て、くろ……」 黒羽さん、と呼びかけるよりも先に、窄まったそこに黒羽の指が触れた。尖った爪先の感触に、サッと血の気が引く。 待ってください、そう、声をあげるや否や、黒羽はそのまま構わず指を捩じ込んだのだ。 「――ひ、ィ……!!」 声が、空気が漏れる。俺の指よりも太いそれは受け止めるのだけでも精一杯で、それなのに、俺の意思に関係なく黒羽の指を飲み込んでいくのだ。体内に擦れる度に、焼けるように熱くなった内壁は過敏に反応する。 「ぁ、いぎッ、ひ、ぃ――ッ!!」 腰が揺れる。ぐちゃぐちゃに中を掻き混ぜられるだけで頭の中は真っ白になって、痛くて、苦しいはずなのに、それすらも、気持ちよく思えてしまうのだ。求めていた脳味噌を直接掻き混ぜるほどの強い刺激に、喉の奥から声が漏れる。 黒羽の指の出し入れに合わせ、腰が揺れる。目の前が赤く点滅して、性器が痛いほど腫れ上がるのだ。 「ぁ、あ゛、ぁ、いや、くろは、さ、ぁ、あ゛ッ!」 「っ、ハ……年端もいかぬ小童のくせに……肉欲は一人前か……ッ」 黒羽の低い声すら気持ちよくて、中を押し広げるように筋肉を揉みしだかれれば腰がガクガクと揺れる。先走りがとろりと溢れ、腹部を濡らす。体が、おかしい。内側から作り直されるような錯覚に恐怖を覚えたが、それすらもすぐ快感に塗り替えられる。 「っ、ん、ぅ、ひ、ぃッ!」 黒羽の指で呆気なく射精する。少量の精液がぽたりと飛び散るが、それを拭う余裕もなかった。 「ッは……ッ、はぁ……ッ」 赤く染まった黒羽の目に見つめられだけで、心臓が焼けるように疼くのだ。射精したのに、それも念願の黒羽の手でだ、それにも関わらず、もっと強い刺激を、快感を欲してしまう。内壁に、無数の虫が這いずるような疼きを覚えた。 もっと、もっと強い、刺激を。 抉られるような、何も考えられなくなるほどの、熱を。 「っ、くろは、さ……も、おれ……ッなんか、ヘン……ッお腹が、熱くて……ッイッたのに、全然たりない……ッ」 「……おれのからだ、へんだ……ッこんな、の、おかし……ッ」涙が溢れる。頭と体が噛み合わなくて混乱してる。こんな気持ちになったことなどなかった。 こんな真似したくないのに、体が勝手に動くのだ。自ら足を開き、黒羽の手にぎゅっと手を重ねれば、手の下、黒羽が反応するのが分かった。 血走った目が、細められる。唇が、歪んだ笑みを浮かれる。 「本当に……どうしようもない方だ……ッ」 黒羽が、笑った。獰猛な笑みに、心臓が握り潰されるような感覚に陥った。 そして、 「く、ろ……」 黒羽さん、と呼びかけるよりも先に、目の前、帯を緩めた黒羽の下腹部から現れた性器に目が奪われる。 浮かび上がる無数の血管に、ガチガチに勃起したそれは下手すれば子供の腕、もしくはそれ以上はある。人間離れしたそれは先走りで嫌らしく濡れ、反り返っていた。 息を飲む。これを入れられると思ったら、恐怖でどうにかなりそうだった。なのに、この太い性器で内臓をぐちゃぐちゃに掻き混ぜられたらと思うと体が熱くなる。 なけなしの理性がぶっ飛んだ瞬間だ。 「……っ、は……ッ」 目が離せなかった。黒羽の手に足を開かれ、既に一本の指を飲み込んでいたそこを大きく拡げられる。押し当てられる亀頭は、握り拳ほどの大きさで。 太いとは言えど先程の指とは比較にならない。 ぐっと押し当てられる亀頭に、息を飲む。汗が滲む。明らかに俺の体はそれを受け入れられるように作られていないとわかったのに、それでもいいから早く入れてくれ。そんな風に思ってしまって。 「ぅ、ッ、く、ろ……ッは、さん……ッ」 名前を呼ぶ。無意識に腰が震えた。黒羽と視線が絡み合い、そして、黒羽は俺の腰を抱き締めた。大きな手が、がっしりと俺を掴まえたときだった。 「ぃ、ぎ――ッ!!」 脳天まで裂けるような、激痛が走る。 無理矢理抉じ開けられる痛みに、涙が溢れた。目を見開く。息を吐いても吸うことができなかった。みちみちと、黒羽が腰を動かす度にどんどん肛門は広がっていく。まだ、ほんの数ミリだ。それなのに、痛みは最高潮に達していた。熱が駆け巡る。視界が歪む。黒羽の手を掴む指に力が入った。 「ッ、ぁ゛ッ、ひ、ィ……ぎ……ッ」 まだ、カリの部分が来る。もっと、大きく押し広げられると思うと腰が引けてしまいそうで、それでも、掴む黒羽の手は離れない。それどころか。 「……ッ、い、なみ様……ッ」 獰猛な目。その瞳が一瞬、揺れたような気がする。理性。というものが残っていたのかもしれない、黒羽にも。躊躇いの色が滲んだのを見て、俺は、堪らず黒羽の手をぎゅっと握り締めた。大丈夫です、と、口が動く。 瞬間。黒羽は俺の腰を大きく持ち上げ、そして、一気に奥まで捩じ込んだ。 その瞬間、目の前が、真っ赤に染まる。 ぐりんと視界が大きく動き、天井が写った。 「ぁあ゛あ゛あ゛ァアッ!!」 響くその絶叫が自分のものだと気付くのに時間がかかった。血が、溢れてるような気がした。わからない。本当に股が裂けたのかも知れない。それほどの痛みに、喉の奥からは空気と悲鳴と胃液唾液が溢れる。濡れる口元。下半身が焼けるように熱い。恐ろしくて、確認することができなかった。 けれど、 「いっ、ひッ、しぬ、し、んじゃうッ、しぬ、裂ける……ッ!血、ち、っ、が、血が……!」 どろりと溢れる熱。なにかが垂れ、股が濡れる感触がしたが、見ることはできなかった。頭がおかしくなりそうだった。それでも黒羽は構わず、腰を動かすのだ。一気に奥まで押し広げられたそこは、黒羽が少し動いただけでも引っ張られ、内蔵ごと掻き乱すような痛みが遅いかかる。 「ぁ゛、あ、い、ひ……ッ」 ひりつく喉からは声も出なかった。息がとまる。不自然に膨らんだ腹部を見て、頭がどうにかなりそうだった。 愕然とする俺に、黒羽は、無骨な手で俺の額を撫でる。 「ッ……安心しろ、死にはしない。……痛いのは最初だけだ」 「なに、ひ、っへ……ッ」 視界が陰る、唇を塞がれた。二度目のキス。それだけなのに、下腹部にずぐんと衝撃が走る。性器、その奥、あるはずもない子宮が疼くような、温かい熱が広がった。 黒羽の先走りが内部を濡らしていく。先程よりも少しは滑りやすくなったのか、潰れた肉のような音を立て、ゆっくりと引き抜かれれば、内臓ごと引っ張られるような快感に脳髄が溶ける。 「っ、ぉ、ほ……ッ」 自分の体に異変が起きている。それはすぐに分かった。先程まではあんなに痛くて苦しかったはずなのに、今は、中を擦られただけで頭の中が暖かくなって、どろどろに溶けそうになるのだ。痛くて、苦しいのに、それ以上に気持ちいい。ちゅ、ちゅ、と顔にキスをされるだけで、性器が、乳首が、至るところが過敏に反応してしまう。愛しさが込み上げてくる。 「……ぁ、っ、く、ろは、しゃ……ッ」 「……効いてきたか」 なにを、とは聞けなかった。指先で唇を触れられ、脊髄反射で舌を絡める。黒羽の指をしゃぶり返せば、黒羽は唇を舐め、そして、俺の口の中へと太い指を挿入した。 「んッ、ぷ、ぅぶッ、んんッ!」 舌を弄ばれ、唇を揉まれる。同時に腰をゆっくり引き抜かれ、そしてストロークされるだけで喉奥からは自分のものとは思えないような声が漏れた。何も考えられなくなる。腰が大きく痙攣し、宙へ引っ張られた性器からは半透明の液体がピュッと溢れるだけだった。 「んッ、ほ、ぉ、ッお、ぁ……ッ!」 休む暇もなく黒羽に足を掴まれ、奥深くまで挿入された亀頭をゴリゴリと中へと押し付けれれば、意識が飛びそうになった。内臓を潰される。これ以上は本当に内臓が潰れてしまう。限界地点、本来ならば辿り着くはずがないそこを抉られるだけでみっともない声が溢れて、反応するように性器からは、透明の液体がとろりと溢れ出すのだ。ぐちゃぐちゃに汚れた下腹部、執拗に奥を擦られる。 「ぁ゛ーッ、はッ、ひ、あ゛……ッ」 呼吸が浅くなり、頭の中が真っ白になった。別の生き物のように痙攣したそこからは精液は出ない。勃起した性器からはカウパーが溢れるばかりで、持続的に与えられる快感の波に、思考が、呂律が、麻痺してくる。四肢の力も最早入らなかった。ぐったりとした体をそれでも黒羽は手放さない。俺の体を抱き上げ、胡座を掻いたその上へと座らせられる。瞬間、腰を押さえつけられ、体重の重みと下から突き上げられる刺激に、喉億から声にならない悲鳴が漏れた。 「ぁ゛ッ、くろは、しゃ、おッ、ぉ、く、ごりごり、ゆって、おくっ、や、ッくろ、は、だめ、ぉッ、おく、あた、て……ッ!!」 呂律が回らない。何も考えられない。腰を抱きしめられ、何度も奥を亀頭で潰されるだけで、内臓が溢れそうになって、気持ちよくて、なんにも考えられなくて、俺は、ただひたすら黒羽にしがみついていた。痙攣しっぱなしの下腹部からはどろりと血が混じった液体が結合部を濡らす。気持ちいい、気持ちよくて、しんでしまいそうだ。  「ぁ、や、あッ、あ、いくっ、でちゃ、やッ、くろはひゃ、ぁ、あッ!いくッ!でひゃ、う……ッ!」 「……っ、どうぞ、好きなだけイッて下さい。満足できるまで、付き合いますッ、伊波様……ッ」 「あッ、ぁっ、く、ろ゛っ、ぁ、あぁ……ッ!」 何度も摩擦され、中を、奥を突き上げられる。浮かせるにも腰が抜けてしまっている今、立ち上がることもできずに黒羽に抱き締められては執拗に中を犯された。熱い、熱くて、溶けてしまいそうだ。下半身の痛覚は最早なかった。何度かのピストンの末、ガクガクと痙攣する腰を深く落とされた瞬間だった。 「んぎぃ゛ッ!!」 太い腕に、腰を掴まえられる。 体の奥深く、膨張した黒羽の性器からは熱した鉛のような大量の精液が溢れ、直腸へと流し込まれる。がっちりと拘束された下腹部は動かない。腹の中へどんどん溜まっていくその熱を感じながら、俺は、意識が遠退いていくのを覚えた。

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