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翔の話1

今日はあまり体調が良くないからと真っ直ぐ寮へ帰ろうとしたのが間違いだった。ずっと顔を合わさないように避けていた腹違いの弟、司に出会ってしまった。 必死に自分を呼び止めて室井となぜか変わるのかと聞いてくる司に、全てお前のせいなのだと言ってしまいたくなるのをぐっと堪えて司と目線を合わせないように他所を見るが、そうするとコソコソと噂話をする生徒たちと目が合う。 耐えられなくなった翔はその場から逃げ出して、来た道を戻り二年の教室がある廊下まで行き気づく。 今、俺は誰のもとへ行こうとしていた? 翔が立ち尽くしていると、ガヤガヤと騒がしい集団が近づいて来た。その集団の中心である人物、清雅が翔を見つけて緩りと笑う。 「あれ?翔、今日は体調が悪いから先に帰るって言ってたのに。」 「あっ……」 弟から逃げてたら無意識にここへ向かっていたとは言えず、翔が困っていたら清雅の取り巻きの一人がニヤニヤと笑いながら話しかけてくる。 「市村は体調悪くても、室井と一緒にいたかったんだよ。いや、体調が悪いからこそ一緒にいたいんだろ。きちんと看病してやらないと。」 それを聞き、清雅の取り巻きたちがはしゃぎ出す。お熱いね〜、やり過ぎで体調悪いんじゃないの?など、耳を塞ぎたくなることを言われる。 「お前ら、煩い。」 清雅がそう一言発すると、騒がしかった者たちが一斉に口を閉じて静かになる。 「翔、帰ろう。」 そう言い、清雅は翔の肩を抱いて歩き始める。 翔は清雅と共に歩きながら、後ろから多くの視線を感じてさらに体調が悪くなっていくように感じた。

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