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清雅の怒り1

翔はバスルームへ抱えられて向かったまでは覚えているが、その後の事はあまりよく思い出せない。 気づいた時にはもう朝で、翔は綺麗なシーツにくるまっていた。 自分に汚れたシーツを取り替えてベッドメイキングした記憶はないから清雅が行ったのだろう。 ベッドの横に備え付けてあるテーブルには、綺麗に畳まれた翔の制服が置いてあった。 その上には、清雅が付けていたピアスと色違いの物が置いてあった。 もう後戻りはできない、そう覚悟を決めて翔は自分でピアスを身に付けた。 清雅に飼われる事になった経緯を思い出しているうちにいつの間にか眠っていたようだ。 翔はチャイムの音で目が覚めた。 もしかしたら坂木かもしれないと思い、翔はパジャマ姿ではあったが玄関へ向かった。 坂木と翔は、翔が上手くやっていけるのではと思った通り、良い関係を築けている。 今日も翔が体調が悪いと知ると、とても心配してくれたので様子を見に来たのだろうと思った。 しかし、その翔の予想は外れた。 ドアを開けた清雅を睨みつけて立っていたのは司だった。 「翔、帰ろう。」 翔の姿が見えれば、司は翔のもとへ行こうと清雅を押し退け進もうとする。しかし、清雅がそうさせるはずもなく司は翔へ近づけない。 「勝手に飼い主の許可もなく、翔に近づかないでもらおうか。」 「飼い主だと?ふざけるな。翔、なんでこんな頭のおかしい人間と一緒にいるんだ。こんな男とはさっさと縁を切ってしまえ。」 勝手にやって来て何も知らないくせに偉そうに……翔は司に対して怒りを感じた。 翔が司へ出て行くように言おうと口を開く前に、清雅が動き司の胸倉を掴み締め上げた。

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