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(注意:性描写あり) 擦れ違う二人

翔にとって、今回の性行は辛いものだった。 いつも望んで抱かれるわけではなく、こんな関係を続けたくなくて逃げ出せるなら逃げ出したいと思う事もあった。 しかし、いつもは的確に快感を与えられ、何よりもあの清雅の自分を見つめる瞳が優しいから、自分も彼との行為に溺れる事が出来ていた。 今のように、清雅に怒りをぶつけられながら抱かれるのは初めてではないが、こんなにも怒りの中に哀しみを感じた事はなかった。 いつものように快楽に溺れる事が出来るわけではないのに、身体は何度も白濁を吐き出す。 翔は、清雅が自分を甘やかし、偏った愛を向けてくる事が怖くもあり、嬉しくもあった。 清雅は知らないが、事後の後、共に眠りについて先に翔が起きた時、清雅の意外と可愛いらしい寝顔を見れば、翔は愛おしささえ感じた。 しかし、清雅の本当の気持ちが分からないために、翔は彼を素直に好きになる事が出来ずにいた。 彼が司や、市村家に向ける憎悪が何なのかも分からなかった。 翔は、意識が遠のいていく中で、司や市村家、室井家の問題が何もなくなり、関係も良好になって清雅と翔がお互いの事だけを思って過ごせたら良いのにと考えた。 自分のものか、翔自身のものかも分からない、白濁に汚れた彼の頭を清雅は愛おしげに撫でる。 司や市村家の者達へ無償の愛を捧げ続ける翔が愛おしくもあり、憎い。 「俺には……お前だけだ」 翔と自分、二人だけの世界を築くためならば、彼は翔以外は何もいらない。 だから、彼にとって翔の愛する司や市村家は邪魔でいつか排除すべきものだった。

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