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第4話

疲れる、いや、疲れた…。 一旦自分のデスクに戻って一息つきたい。 「浅井さ~ん」 廊下で後ろから呼び止められた。 誰だよ…もう少しでデスクに辿り着けるのに…。 「遠藤…あれ?もうこんな時間!?」 遠藤 滉(えんどう あきら)は入社二年目の後輩で、人事部でいわゆる普通の人事的な業務を担当している。 身長は俺とさほど変わらない175センチ位でスポーツ全般が趣味だとか。 インドアな俺にはありえない。 「やっと帰って来られました~」 「お疲れ様。定例とはいえ地方に行くのは大変だろ?」 話しかけるとぱぁぁぁ、と顔が嬉しげに輝く。 「まだ不馴れで…どうしても先方に迷惑かけちゃって…浅井さんがなさってたようには上手くいかないです」 「俺だってそんなに上手く出来てなかったよ」 「浅井さんは僕のお手本です!大変だけど、やりがいがあります!」 …あぁ、俺もこんなだったら人生少しは違ったのかな…。 「それで…あの…後で少しお時間いただけますか?」 「え?」 「お話したい事があって」 …ヤバい…プライベートで会社の奴と会いたくない。 「俺なんか役に立たないよ?違う奴紹介しようか?」 「浅井さんがいいです」 すがるような目でみるなよ…しょうがない…。 「会議の後でいいかな?」 「会社の中じゃなくて…退勤後が…いいです…」 はぁぁ、マジか…。 「じゃ、どこかでご飯食べようか?」 「はいっ!」 …これは…これは柴犬かチワワだ。 見えない尻尾が見える…。 「帰りまでにメールする」 「ありがとうございます。僕、これから総務部の方に寄ります」 それじゃあ、と尻尾をぶんぶん振りながらチワワ遠藤が遠ざかっていった…。 …俺、疲れてるな…。 デスクに戻ったらご飯と酒が旨い店を探さなきゃ…面倒…。 「浅井戻りました」 ん?何だコレ? デスクに見慣れない箱が…。 中身は… 「浅井」 「は、はい」 部長に呼ばれてその箱を無意識にデスクの上から移動させた。

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