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第6話

ラブユーマイデスク、会いたかった。 もう17時だけど…。 人と会ってばかりいるから仕事が進まん…。 「浅井、終わるか?」 向かいのデスクから梶さんが声を掛けてきた。 「終わりま…せん」 「しょうがねぇなぁ…こっちに仕事振れ」 「ありがとうございます」 神様仏様梶様…。 「今日は遠藤と飯なんで助かります」 ん?虚無な顔をした梶さんと視線が合った。 「マジ?」 「はい」 「それ、俺も行く、決定」 オイ!勝手に決めるな! 「遠藤に了解取って下さいよ」 「はいはい」 遠藤は…隣のデスクを見ても…いない。 アイツ何してんだ? あ!店!まだ決めてない!メールしてない! 「梶さん、どこかいい店知りませんか?」 「どこでもイイ?」 「この際いいです。あ、メールで場所教えて下さい」 了解、と梶さんがパソコンに向かった。 よし、店はオッケーだな。 少々残業にはなるけど…約束は果たせそう。 「梶さん、なんでいるんですか?」 遠藤!面と向かって先輩にそんな口をきくな! 「話があるなら…聞くよ?」 「…白々しぃ…」 「ん?何か言った?」 「いえ…何でも…」 あれ?この二人、いつもは仲良さそうなのに? 「まあまあ、三人で美味しい物を食べましょうよ」 梶さんが紹介してくれたこの店はちょっとオシャレな創作料理の店だ。 何品か注文してとりあえずビールで乾杯! 「ところで遠藤の話って何かな?」 今日の目的だから聞いておかないと。 「あーそれ。まぁ、今度でいいです」 ん?はっきりしないな。 「遠慮するなよ。梶さんも力になってくれるし、ね、梶さん」 「…まあな」 なんだ、この間…? いつも梶さんと遠藤の二人で話してる姿は普通なんだけど…今は雰囲気がよくない。 腹の探りあいみたいな…。 この二人に何かあったのかな? 「ほら、料理もきたことだし食べましょうよ。遠藤取り皿寄越して」 しょうがない、今日は俺が仕切ってやり過ごそう。 「梶さんビールどうぞ」 「お、悪いな。浅井も飲めよ」 ゴクゴク。 「遠藤もビール注ぐよ」 「ありがとうございます。浅井さんも」 ゴクゴク。 こんなやり取りをしていたら…俺一人酔っぱらうじゃん。 それでも先輩と後輩に気を使い料理と酒を勧め、逆に飲まされた。 「ちょっと…お手洗いに…おっと失礼」 席を立ってくらっときた。 だいぶ気持ちよくなってきたから念のためお手洗いに行っておく。 ビールはおしっこが近くなるから。 「ふうっ」 用を足して手を洗おうとしたら…なぜか個室に入っていた。

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