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第18話

念の為にロッカーに置いてあった着替えが役に立つ日が来た…。 「…くしゅん!うっ…さぶい…。パンツの替え…無いな…」 さすがに下着の替えまでは備えていない。 季節はようやく春が終わり梅雨に入り始めたばかり。 この寒い日にノーパンなんて…でも… 「……考えても仕方ない…。さっさと着替えて宇田島さんの所に行くか…」 最近ツイてないなぁ…。 「っくしゅん!」 「浅井、風邪か?」 パソコンに向かってくしゃみが出た。 「はは、まさか…へくしゅん!」 うぅ~寒っ。 「風邪のひきはじめはビタミンだ。これ飲め」 梶さんがビタミンドリンクを投げて寄越した。 危ないなぁ、でも気遣ってくれているのがわかる。 「ありがとうございます」 その場でぐっと飲んだ。 お、これはお高いやつだ、効きそうな味がする。 具合良くなるといいけど…。 着替えるまでに時間くっちゃったから冷えたよなぁ…。 ま、宇田島さんの前でもくしゃみが止まらなかったからすぐに放免になったけど。 昨日はあれやこれやあったのに、深くは絡んでこなかった。 『風邪、お大事に』 仕事の話をした後に、微笑みと一緒にそう言われた。 王子様か! …っと、メールが来てる。 『打ち合わせの件 尾川哲』…。 絶対これ打ち合わせじゃないやつ。 だけど…約束したっぽくなってるから…しょうがないか…。 了解、終わり次第連絡するとだけ返信して…さ、仕事しごと…。 幸いくしゃみは量産したが体は辛くなかった。 梶さんにもらったドリンクのおかげかな。 仕事が終わる目処が立ったので哲にメールを送るとすぐに返信がきた。 「…○○交差点…会社じゃないのか…」 会社の出入口で待ち合わせるつもりだったので驚いて声にでてしまった。 周りの目が自分に向く。 「お…お疲れ様でした。帰ります」 そそくさと会社を出て待ち合わせ場所に足を向けた。

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