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第22話

「浅井さんはカッコイイんです!」 「あ~ハイハイ」 居酒屋の個室で飲むこと一時間半、酔っぱらい遠藤が出来上がっていた。 「僕みたいな奴にもすっっっごく良くしてくれて…」 「…ハイハイ」 突然キッとこちらを睨みほぼ空になったグラスをテーブルに叩きつけた。 「真剣に聞いてくらさい!」 「割れるから…」 正面から隣の席に移り、グラスにからまる指を解いて取り上げる。 「…俺が…入社して、仕事が上手く出来なくて…でも誰にも頼れなくて…」 語りだした遠藤を止められない。 「毎日泣きそうになりながら会社に行って…そんな俺に気付いて声掛けてくれたじゃないれすか!」 あ~あったわ。 辛そうな顔して仕事してたっけ。 「浅井さん、俺が仕事が出来るようになるまで毎日面倒見てくれて…すっげぇ嬉しかった…」 「先輩なんだから当たり前だって」 知らん顔して放っておくよりも出来るようにしてやった方が後々面倒がない、俺が遠藤の面倒を見たのはそんな理由からだった。 遠藤は取り上げたはずのグラスにビールを注いでぐっと飲み干した。 「…それでも、俺は嬉しかったんれす!」 「遠藤、飲み過ぎてる。もう酒はやめとけ」 ほらほら、と俺は鶏の唐揚げを勧めた。 半分目がすわったように見えたが…大人しく唐揚げを食べる、ほっ。 「…これ、旨いっす」 「もっと食べろ」 いつの間にか遠藤の背中に回していた手をポンポンして、俺は先輩らしく遠藤の話をいつまでも聞いた。 「歩けるか?」 「…ん~…」 ヤバい…飲み過ぎてる…。 遠藤の腕を肩に担いで店を出た。 終電までまだ時間はあったが、酔っぱらいと電車に乗る体力はない。 「ほら、タクシーに乗るから足上げて…」 「…ん~!」 「抱きついてくるな!シートにお尻乗せて奥に進め」 遠藤のマンションは知っている。 運転手に行き先を告げ俺もタクシーに乗り込んだ。 「こうなると思った…」 すやすや眠る後輩の頭を子供にするように撫でながら俺はため息を吐いた。 「鍵、鍵は?」 「後ろのポケット…出して…」 俺と身長は同じ位なのに筋肉質なのか…重い…。 タクシーを降り、半ば担ぐようにエレベーターに乗った。 部屋の前で遠藤のズボンのポケットから鍵を出し、ようやく玄関に辿り着いた。 「く~、重かった」 鞄を放り靴を脱がせ寝室に運ぶ。 「スーツ、皺になるな…」 ベッドの端に座らせて上着、ネクタイ、ワイシャツを脱がせてベルトを緩めた。 「ほら、横になって…」 遠藤をベッドに寝かせてズボンを引き抜く…と、アレが…勃っていた。 「あんなに飲んでんのに…って…!」 布団を掛けようとして手を引かれ、俺は遠藤の胸に倒れ込んだ。

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